知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

J-PlatPatを使い倒そう  その5  簡易検索2

 前回は、簡易検索の、「商標を探す」で、

「特許」と、「ライオン」の両方の言葉が

入っている公報を調べてみたら、ヒット

してきたものには、全然、「特許」という

文字など含まれていないものがヒット

している、というところで終わりました。

 

 今回は、このからくり??を調べて

行くところから始めましょう。

 

 実は、「商標を探す」にした場合に、

どこにその言葉が入っているのか?と

いうのは、「商標」、「称呼」、「出願人/

書換申請者/権利者/名義人」という

フィールドにその言葉が入っていれば

ヒットしてくれるんです、とマニュアル

には書かれています。

 

 つまりは、「特許」と入れて、商標が、

「特許太郎」だったら、商標に「特許」が

入っているねということで、ヒットして

くれるのはわかります。

 

 したがって、「特許」と「ライオン」を

ANDすなわち論理積で調べてねとお願いした

場合、「商標」、「称呼」、「出願人/

書換申請者/権利者/名義人」のいずれかに

「特許」が入っており、さらには、「商標」、

「称呼」、「出願人/書換申請者/権利者/

名義人」いずれかに「ライオン」も

入っている文献を検索してくれるのか?

というとちょっと違うんです。

 

 これを簡単な例で示してみましょう。

 

 まず、「学校」と入れてみましょう。

 

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 言葉一つだけですので「AND」でも

「OR」でも関係ないですが、とりあえず

ANDを入れて検索しています。

(一覧表示にして貼り付けると小さくなって

しまうので、一覧表示結果は、貼り付けて

いません。)

 

 次に「高等」と入れて絞り込むと、1件と

なりました。

 

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 さらに「大学」と入れると0件になって

しまいます。

 

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 当然ですよね、1件しかなかったのです

から、さらに絞り込めるわけがありません。

 

 しかーし、ここで、「ライオン」と入れて

みましょう。

 

 そうすると、「あーら、不思議」、600件に

なってしまうんです。

 

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 「えーっ、andで絞り込んだはずなの

にー、逆に多くなってんじゃん???」

っていうところですよね。

 

 マニュアルを見ても、以下のように、

AND検索ができますよーとしか書かれて

おらず、言葉を入れていけばどんどん

絞り込めるものと思ってしまいます。

 

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 なぜこのような結果になるのか?と

いうと、カタカナを入れると、「称呼」

での検索が優先されてしまうんです。

 

 すなわち、「称呼」検索が優先されて、

「称呼」検索では、必ずカタカナで検索

しますので、漢字はシカトされてしまうん

です。

 

 これは、称呼検索が優先されるという

だけで、以下のように、さらにカタカナで

「レオ」と入れてあげると、称呼で、

「ライオン」と「レオ」のANDでの検索は

してくれるんですね。

 

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  ちなみに、これはカタカナだけの場合には、

称呼検索が優先されるというだけで、以下の

ように、「カタカナと漢字」や「カタカナと

ひらがな」などが一体となった一つの単語を

構成している場合には、その一つの単語での

漢字やひらがなが無視されるというわけでは

なく、0件となってしまいます。

(すなわち称呼検索ではなく、「学校」や

「高等」と同じ、他のフィールドを検索して

いるんですね)

 

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 どうです?

 

 むずいでしょう??

 

 えっへん!!!

 

 と、難しいのをいばっているだけ

ではダメなので、じゃあ、意匠はどう

なんだ?というと、「意匠を探す」で、

「商標」と「ライオン」を入れて、

論理和(orですね)を取ると、906件、

論理積(andです)では普通に、0件に

なってしまいます。

 

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 つまりは、論理和の時は、どちらかの

言葉が入っている公報を調べてね、と

お願いしており、論理積の時はどちらの

言葉も入っているものをお願いしている

のですが、なぜこのように商標と違った

扱いになるかというと、意匠のほうでは、

検索対象項目は、「意匠に係る物品」、

「意匠に係る物品の説明」、「意匠の

説明」、「出願人/意匠権者/創作者」

というところを調べており、商標の

場合のように、「おめー、カタカナ

だけで入れろよなー」という、

「称呼」検索のようなものがなくって、

「なんでもオッケー」という、実に

親切な???、検索になっている

からなんです。

(さらに詳細がありますが、割愛します)

 

 ということで、簡易検索では、キー

ワードを入れるところには、半角のみ

では200文字まで、全角のみでは100

文字まで入れることができますので、

スペースで区切って、AND検索なのか、

OR検索なのかを指定して、いろいろ

考えて、いろんな言葉を入れることに、

致しましょう。

 

 漢字のほうは、JIS漢字コードの

第一・第二水準以外の漢字は、

「おら、そんなのかんけーねー」と

言われてしまいますし、たとえば、

「国」と「國」は、違う言葉と

認識されてしまいますので、気を

付けましょう。

 

 さらに、出願人とか発明者などは、

筆頭者検索というものができて、

「|ライオン」というように入れま

しょう。

 

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 尚、「商標出願・登録情報」検索の

ところでも説明しますが、簡易検索でも

特許、実用新案、意匠での出願人は

部分一致(ライオンという言葉が入って

いればオッケー)検索で、商標での

出願人は完全一致検索となります。

 

 したがって、「商標を探す」で

「ライオン」と入れた場合、出願人の

イオン株式会社等でヒットしている

わけではなく、「称呼」に「ライオン」

が含まれているものがヒットしています。

 

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 ということで、下の画面のほうは、

出願人が、「ライオン株式会社

でヒットしています。

(商標で、「ライオン株式会社」という

ものがあれば、それもヒットしますが、

今回は、「ライオン株式会社」という

登録商標はないようです)

 

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 続く。