知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

サントリーさんのノンアルコールビールの特許ってどんな特許ですか?

 サントリーさんがアサヒビールさんを

訴えた、ノンアルコールビール特許侵害

訴訟について、東京地裁レベルですが、

先週、請求棄却判決が出て話題になって

いましたね。

 

 まだ、地裁レベルの判決のため、

サントリーさん、控訴をするようですので、

結論はどうなるかわかりませんが、

どんな特許なのかWEBを見てもまだ出て

いないようですので、ちょっと調べて

みましょうかね。

 

 判決文をまだ見ることができる状態に

なっていないようですが、とりあえず、

プラピ(J-PlatPat)さんにお願いして

みましょう。

 

 そうすると、出ましたね、

 

 特許第5382754号、優先権主張番号が

特願2011-255388、「早いところ、審査を

お願いできませんか」とお願いしたら、

素早く審査をしてくれて、拒絶理由が

通知されましたが、めでたく、2013年の

9月に登録査定となりました。(その後に

訂正などもされています)  

 

 ということで、発明の名称は、 「pHを

調整した低エキス分のビールテイスト飲料

で、たとえば、登録公報の請求項の1は、

「エキス分の総量が0.5重量%以上2.0

重量%以下であるビールテイスト飲料

あって、pHが3.0以上4.5以下であり、

糖質の含量が0.5g/100ml以下である、

前記飲料」となっていますが、先ほど

書いた訂正審判にて、「ビールテイスト

飲料」を、「ノンアルコールのビール

テイスト飲料」に減縮訂正されています。

(請求項数はトータル63という大力作

ですが、他の請求項も同じように訂正が

されています。

 

 発明の詳細な説明を見ると、

 

技術分野は、

「飲み応えのある低エキス分のビール

テイスト飲料、その製造方法、及び

低エキス分のビールテイスト飲料に飲み

応えを付与する方法」に関し、

 

背景技術としては、

「消費者の健康志向が高まる中、ビール、

発泡酒ビールテイスト飲料などの嗜好性

飲料においても低カロリーや低糖質と

いった商品の需要が高まっており、ライト

ビールや、カロリーカットタイプあるいは

糖質カットタイプのビールテイスト飲料などの

様々なタイプのビールテイスト飲料の需要が

高まってきていて、道路交通法改正による

飲酒運転の罰則強化により低アルコール

もしくはアルコール度が0.00%のノンアル

コールのビールテイスト飲料の需要が増加

したりして、健康志向のビールテイスト

飲料を設計する場合、低エキス分の飲料と

する方法を用いることができるが、エキス

分の総量が低い飲料、即ち低エキス分の

ビールテイスト飲料においては、飲み応えが

必ずしも十分ではない場合があって、特に、

アルコール分の少ない、又はアルコール分を

含まないビールテイスト飲料において、

飲み応えを付与することは重要な課題」

なため、この発明をしたんだそうですよ。

 

 まあ、そういうことなのですが、個人的

見解で申し訳ないのですが、大酒飲みの

王花陣としては、ノンアルビールの味は、

まだまだ今イチというか、今百ぐらいの

違いがあって、先ほどの特許公報の記載の、

「飲み応えが必ずしも十分ではない」と

いうのに、「うん、うん」などと頷いて

しまうわけでして、「やっぱりまだまだ

飲めねーなー」というところです。

 

(個人的見解ですのですんません。

 

 「おめーの意見なんか聞いてねーよ。」

と言った方にはごめんなさい)

 

 地裁判決では、サントリーさんの特許は、

「無効だ、無効だー」とか言われてしまった

そうですが、個人的には、無効だろうが

なんだろうが、おいしく飲めるノンアル

ビールを開発していただければ満足です

ので、今後の訴訟の行方と、開発状況を

注視して行きましょう。

 

 そのうち、趣味と実益を兼ねて(期待も

込めて)、ノンアルビールの開発状況を、

特許の観点から分析してみましょうかね。