知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

玉ジローさんの全自動玉ねぎ皮むき器

 「玉ジローって何だ?」というところ

ですが。

 

 「玉ジロー」という会社があるんです。

 

 この会社は、正式名称「株式会社玉

ジロー」、代表はジローさんではなくて、

林健一郎さん、本社は東京都江東区

設立平成9年、資本金が4,500万円、

社員が5名、営業種目は、食品加工

機械の開発、販売、となっています。

 

 食品加工機械といっても、玉ねぎ加工

機械なわけでして、何で、玉ねぎ加工機械

なの?というと、この会社、キッチンジローと

いう総合フードビジネス、洋食レストラン

チェーン(キッチンジロー、洋食屋キッチン

ジロー他)、弁当惣菜製造販売などを

手がける会社のグループ会社なんです。

 

http://www.kitchenjiro.co.jp/index.html

 

 こちらのキッチンジローのほうは、会長

さんが「二郎」さんで、沿革にも一部紹介

されていますが、洋食屋さんでは、ハン

バーグやコロッケ、カレーなど玉ねぎが

欠かせないんですが、一日に2000個もの

玉ねぎの皮むきが必要で、パートさんに

皮むきをやらせても、目が痛くなったりして

すぐパートさんに辞められてしまうという

問題があったそうなんです。

 

 このため、社長を譲って暇を持て余して

いた会長のジローさんが、平成4年に

ポケットマネーで玉ねぎ皮むき機の開発に

着手し 試行錯誤を繰返し、21号機目で

やっと完成したんだそうです。

 

 かかったお金は2億円だそうですが、

(と、テレビで言っていました)下の

URLでお値段を見ると、21型が220万円で、

会長さん、随分お金を持っていたん

ですね。

 

http://www.tamajiro.com/product/index.html

 

 販売実績を見ると、300件以上だそうで、

売れているんですね。

 

http://www.tamajiro.com/example/index.html

 

 ということで、 さぞや昔から特許出願

していたんだろうなと思うと、さにあらず、

出願が2014年の9月、登録が2015年の

2月という、最近になってやっと完成

したんでしょうか?

 

 玉ジローは、全自動玉ねぎ皮剥き機な

わけですが、皮をむいたり、根をドリルで

くり貫き、同時に下のヘタをカッターで

切り落としたりするんです。

 

 登録特許は、特許第5690441号「玉葱の

表皮剥離装置」となっていて、以下の

ようになっています。

 

【請求項1】

 前後一対で平行する回転軸にそれぞれ

設けた前後一対のローラ上に表皮にスリットが

形成された前処理済みの玉葱を載置し、

前記ローラの回転で玉葱を転動させ、

該転動中の玉葱に上方から圧搾空気を

吹付けて表皮を剥離させる玉葱の表皮

剥離装置において、前記ローラが、外側と

なる左右の側面から中央よりに漸次

小径となって玉葱と接触する接触面を

有しており、該接触面に部分的に隆起部を

設けて、ローラ回転時に玉葱を跳ね上げ

るようにしたことを特徴とする玉葱の

表皮剥離装置。

 

f:id:oukajinsugawa:20150930162742j:plain

f:id:oukajinsugawa:20150930162800j:plain

f:id:oukajinsugawa:20150930162811j:plain

 

 ということで、「必要は、発明の母」とは

よく行ったもんです。