知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

クロザル自撮り写真の著作権

 

 この前、著作権について人間以外の権利が

認められるのか?というのを書きました。

 

oukajinsugawa.hatenadiary.jp

 

 今度は、クロザルの自撮り写真で著作権

争いが起きているんですってね。

 

http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/060200138/093000018/

 

 まあ、写真家には著作権がないというのに

落ち着いたそうですが、写真家さんが感情を

爆発させてクロザルを撮ったわけではありま

せんので、当然でしょう。

 

 鉛筆をその辺に置いておいたら、サルが

勝手に絵を描いた、という場合も、別に鉛筆の

持ち主が創造的活動をおこなったわけでは

ありませんので、カメラの場合もおんなじ

ですね。

 

 ただし、カメラマンがそのへんにカメラを

置いておいて、全然知らない人がそのカメラを

使って写真を撮ったら、フィルムの所有権は

カメラマンのものですし、勝手に使ったという

道義的な問題も残りますが、著作権自体は

その全然知らない人のものになってしまうで

しょう。

 

 まあ、著作権云々よりも、所有権関係で

その他人が、「ドロボー」と、訴えられる

のが落ちですが。

 

 上の記事では、今度は、著作権はクロザル

にあるとして、写真家さんが訴えられたという

ことで、いやはや大変な時代になったものです。

 

 動物の倫理的な扱いが問題になっている

そうで、クロザルにも倫理的な扱いが必要

なんだったら、今度は写真家さん、クロザルが

断りもなしに勝手にカメラを使って、

フイルム(最近のカメラで、もしかすると、

フイルムではないかもしれませんが)を

消費したとか、カメラを汚したとか、

勝手に使ったとか、クロザルさんの倫理観で

訴えれば良いような気がしますが。

 

 まあ、この訴訟でも、クロザルさんには、

著作権は認められない、ということで落ち着く

んではないかと思います。

 

 仮に、クロザルさんに著作権を認めようと

なった場合には、クロザルさんが何匹もいた

という話ですので、今度は、本当に自分で

撮ったのか?とか、じゃあ、ほかのサルが

撮ったのだったら、誰が著作者なんだ?

(どのクロザルさんが写真を撮ったんだ?

ということですが)とか、クロザルさんが

権利を主張してるのか?などなど、いろんな

認定作業になって、また話がややこしくなる

でしょう。

 

 まず、著作権があるかどうかは、それが

著作物か?ということから認定していく

必要があり、ただ写真を撮ったということ

だけでは著作物とはなり得ず、クロザルさんを

法廷に引っ張り出してきて、「どんな工夫を

したんですか?」とか、「カメラアングルに

工夫を施したんですか?」とか「クロザルさん、

あなたは著作物として主張しますか?」とか

クロザルさんとやり取りが必要になるんです。

 

 クロザルさん、タカアンドトシさんのように

自分を指さして「オレダオレダオレダー」と

自己主張しないでしょうし、何匹ものクロザル

さんで相談して写真を撮ったわけではないよう

ですので、共同の著作物には成り得ないです

ので、保護の主体も特定が必要になりますよ。

(「クロザルさんに著作権を認める」となった

場合のほうが、その後の認定作業とか、いろいろ

さらに楽しませてくれそうで、著作権ありと

なったほうが、私的には、すんげー面白い

ような気がしますが???

・・・私が、こんなことを言っていてはいけない

わけですが)

 

 そういえば、この前のブログで書いた、

「チンパンジーにも人格がある」といって、

訴えた裁判は、裁判所で申し立ては棄却

されたそうですよ。

 

チンパンジーに「人権なし」、米裁判所が愛護団体の申し立て棄却 | Reuters

 

 ただし、さらに最高裁に上訴するそう

ですので、どうなるんでしょう?

 

 さらには、アルゼンチンでは、「オラン

ウータンに人権あり」などと認定したそうで、

まあ、私も、うちのイヌに、「人犬侵害」で

訴えられないように、うちのイヌには、

「お犬様」、と呼ぶことに致しましょう。

 

オランウータンに「人権」あり、アルゼンチン裁判所が認定 | Reuters