知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

佐藤さんちのアルコール粉末

 「佐藤食品工業株式会社」とWEBに

打ち込むと、サトウの切り餅、サトウの

ごはんで有名な、新潟の佐藤食品さんが

出て来るわけなんですが、試しに打ち

込んでもらうとわかるのですが、一番

最初に出てくるのは、実は、愛知県に

ある佐藤食品工業さんなんです。

 

 佐藤食品工業さんはいろいろあるわけ

ですが、新潟の切り餅佐藤さんは、創業

1950年、本社新潟市、資本金5億

43,77万5千円、売上高28,148百万円、

従業員数396名、事業内容は包装餅・

包装米飯製造販売、その他となって

います。

 

 愛知のほうの佐藤さんは、創業は

同じ1950年ですが、本社は小牧市

資本金36億7,227万5千円、売上高

57億4千万円、従業員数199名、

事業内容は茶エキス、植物エキス、

天然調味料、及び粉末酒の製造・販売

となっています。

 

 ウイキでも、愛知の佐藤さんが上に出て

くるのは、「何でだろ~お、何でだろ~、

何でだ何でだろ~」。(テツandトモさんの

節で読んでください。 「佐藤食品」で打ち

込むと、こちらのほうでは新潟の佐藤さんが

上に出てきますが)

 

 ということで、「何わけのわからない話を

してんだよー!!」と言われる前に、そろ

そろ本題に入りましょうかね。

 

 この愛知の佐藤さんですが、事業内容が

「茶エキス、植物エキス、天然調味料、及び

粉末酒の製造・販売」となっているように、

お酒も粉末にしちゃってるんです。

 

http://www.sato-foods.co.jp/product/liquor.html

 

 アルコール粉末の用途としては、お菓子用

とか、嗜好飲料用とかいろいろあるわけですが、

ウォッカ粉末とか、ブランデー粉末、ワイン

粉末とかを、最終製品企業に出荷しているんです。

 

 ウイキによると、「世界で初めてアルコールの

粉末化に成功した企業」と書いてありますし、

佐藤さんのホームページにも、

 

「酒の香気成分とアルコールをそのまま残し、

水分だけを特殊な方法で取りのぞきました。

理論的に不可能とされていたこの技術の

発表はセンセーショナルな話題を呼び起こし、

“SATO”の名をグローバルに知らしめました。

なお、粉末酒は酒税法でも正式に酒として

承認されており、世界主要17ヵ国で製法

特許を取得しています。粉末酒を世界で

初めて製造したのは、私たち佐藤食品

工業です。」

 

 と書いてありますので、今回もプラピ

(J-PlatPat)さんにお願いするとして、

特許関係を調べてみましょう。

 

 ということで、プラピさんにお願いすると、

出ましたね、特開2009-247350「アルコール

含有粉末の製造方法」。

 

 しかし、あんれー、おかしいですね、

拒絶になっています。

 

 特許化されてませんよね。

 

 ということで、世界主要国で製法特許を

取得していると書かれていますので、

それでは、それでは、ということで、

今度はespacenetさんにお願いするわけ

なんですが、こちらのほうもありま

せんね。

 

 おかしいな?ということで、再度、

佐藤さんのホームページを見てみると、

 

昭和41年アルコールの粉末化に成功。

世界主要国に特許出願

1969年   「含アルコール粉末及びその

応用食品」が特許庁長官奨励賞を受賞

1978年   「酒類の脱水乾燥法」が愛知県

より第1回発明実施優良企業特別賞を受賞

1981年   酒税法が改正され、酒類の

新しい1品目「粉末酒」として正式に認可

粉末酒酒造免許第1号を受ける

1983年   粉末酒「アルコック・ライト

カクテル」が日経年間優秀製品賞を受賞

アルコール飲料の粉末化」の研究で、

財団法人日本醸造協会より技術賞を受賞

 となっていました。

 

 ということは、昭和41年というのは

1966年ですので、ものすごい古いん

ですね。

 

 再度、それではそれではということで、

またまた、「アルコール粉末出て

来いやー」と唱えると、出てきましたね。

 

 出願は昭和43年9月、特許出願公告

昭47-39355「酒類の脱水乾燥法」と、

出願が昭和43年3月で出願公告が

昭53-33676「含主精固状物質の製造

方法」というものです。

 

 この前、書きましたが、飲食物や嗜好物は、

昭和50年改正まで特許を受けることが

できませんでしたので、上のような製造

方法で特許を取るほかなかったわけです。

 

 尚、何で、出願が早い「含主精固状物質の

製造方法」というのが、昭和53年までかかっ

たんだ?というと、最初、拒絶査定となった

ので、佐藤さんが文句をつけて(うそです、

拒絶査定に対する審判を請求したんです)、

その後、「拒絶の理由なーし」とおかみの

判断が下るまでに時間がかかったから

なんです。

 

 その後も、ほかの人から、いちゃもん

(特許異議申立てですね)つけられたり

したんですが、めでたく特許となりました。

 

 まあ、HPには、「世界主要17ヵ国で製法

特許を取得しています。」と書かれていますが、

今では、国内も海外も特許は切れているん

です。

 

 ということで、同じような特許出願が今

でもあるのか?ということで、FI分類の

「固形酒」C12G33/08@101というもので

調べてみると、クラシエフーズさんの

「アルコール含有飲料粉末」とか、

海外メーカーの「アルコール含有粒体」とか、

朝日酒造さんの「固形酒およびその

製造方法」などいろいろあって、佐藤

さんからは、アルコール粉末そのもの

ではなくて、アルコール粉末を含んだ

キャンディーの、特許第4849314号

「酒類含有固形食品及びその製造

方法」などもありました。

 

 まあ、お酒大好きな王花陣にとって、

アルコール粉末を一般消費者向けに

売り出して欲しいもので、売り出されたら、

仕事中に隠れてこっそりなめなめしたり

して?、白い粉だったりしたら、見つかった

場合、ちょっと危なさそうですね。

 

それでは、参考のために、佐藤さんの

それぞれの特許公報の1ページ目を貼り付け

させてもらって、おしまいに致しましょう。

 

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