知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

0000って、どんな出願に付与されるんですか?

 「0000」シリーズその3です。   

 

 それでは、今回は、「0000」が付される

特許出願の出願人はどのようになって

いるんだ?というものから見て行きましょう。

 

 まずは、「0000」が付される出願人は、

圧倒的に個人の方が多いのですが、

3件以上の出願人は以下のようになって

います。

 

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 Aさんが非常に多いのですが、この方は、

審査請求ができる期間の出願も、まだあり

ますが、一度も審査の請求をしたことが

ない方です。

 

 以前、どこかの特許事務所の方が書いて

お出ででしたが、内容はよく思い出せないの

ですが、「特許出願は、出願料を払えば

(現在1万5千円です)一般公開されて、

安く全国の人に読んでもらえるので、本を

出版するのなどに比べ非常に割安で、自分の

意見を発表する場に最適だ」というような

ことを書いてお出ででした。

(いわゆる公序良俗を乱す表現がある場合

には、そのまま載っけてもらえませんが)

 

 このAさんも、そのような考えで、出願して

お出でなのでしょうか?

 

 企業からの出願もあるのですが、ほとんどが、

いわゆるビジネスモデル特許出願となって

います。

 

 尚、金額の点で言えば、実用新案登録出願料は

1万4千円で、なんか変なことが書いて無ければ、

審査請求などしなくても、以下のように登録して

くれるので、出願料としてはお安いのですが、

出願と同時に3年分の登録料を払わなければ

ならないので、合計で2万円を超えてしまい、

自分の意見を発表する場としては、出願だけ

でしたら、やっぱり特許出願のほうがお安い

ですよ。

 

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 それでは、これらの方は、意図して「0000」の

特許出願をしているのか?というと、以下の

ようになっていて、結果的に、そのようになって

しまっているだけのようです。

 

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 Bさんのほうは、特許出願が80件近くで、

すべて審査請求がされており、このうち登録は

4件となっています。

(現在、審査請求料は12万円以上しますので、

お金持ちのかたなのでしょうか?)

 

 Fさんは、「タイムマシンシステム」1件だけが

審査請求されており、残念ながら拒絶査定と

なっています。

 

 それでは、全体での審査請求などは、どの

ような比率になっているのかを見てみると

以下のようになっていました。

(再度のIPC付与のものは除いています)

 

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 特許庁の資料によると、審査請求率は、

7年の請求期間のときには50%台で、

請求期間が3年になってからは60%台

後半とのことですので(2001年10月

以降の出願から3年になっています)、

上のグラフの、審査請求をせずに、みなし

取下げとなったものは非常に多く、

全く審査請求をしていないAさんを除い

ても、それでも審査請求率は41%

となっていましたので、「0000」と

割り振られる出願は審査請求率が

低いのが分かります。

 

 それでは、次は、「0000」が割り振られる

のは一貫性があるのか?というのを見て

みましょう。

 

 さきほどタイムマシンシステムというのが

「0000」でしたので、タイムマシン関係で

同じ出願人という出願を見てみましょう。

 

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 色付けしたものがIPC分類が付与されて

いるものですが、「0000」とまったく同じもの

ですよね。

 

 発明の名称が「タイムマシン」という文言が

入っているのを検索すると13件出てくるの

ですが、ほかは「0000」なのですが、上の

ものは「タイムマシン」と書かれていても、

IPC付与がおこなわれていますので、

タイムマシンの発明であっても、

「0000」でないものが結構ありそうな

感じがします???

 

 ちなみに、同じ方の出願で、以下のように、

不老不死薬や不老不死装置、体外離脱や

生き返り装置も「0000」にはなりませんので、

積極的に発明致しましょう。

(ほかの理由で拒絶になる可能性はありますが)

 

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 尚、第1回で、「特許出願」のほうでは、

後に正式にIPCが割り振られたものを除き、

「0000」が割り振られているものは特許に

ならないと書きましたが、実用新案のほうでは、

実体審査がおこなわれずに登録がされるため、

上述したように、「0000」となっていても

登録され得るものがあるんですよ。

 

 (弁理士試験を受ける方は(今年は論文

試験の合格発表はまだですね)、口述試験

ときに、「特許と実用新案の違いを述べよ」

などと質問されて、普通だったら間違え

ないのに舞い上がってしまい、「はい、

実用新案は審査がおこなわれずに登録

されます、です、はい」などと答えない

ように気をつけましょう。普通だったら、

「方式審査はおこなわれる」というのは

わかっているのですが、頭が真っ白に

なっていますので、試験官に「え~~~~??」

などと言われてしまうと、その後、パニク

ってしまいますので、確実に、「実体審査が」

というのを忘れないようにしましょう。

「方式審査と実態審査の違いは何なんだ?」

というのは、受験生ブログではないです

ので省きます)

 

  ということで、「0000」シリーズは、さらに

続く。