知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

スマイビ君とERICAちゃん

 最近、人工知能を使ったロボット開発が

おおはやりですね。

 

 まだまだ鉄腕アトムまでは行っていま

せんが。

 

 ということで、東郷製作所さん

知ってます?

 

 この企業は、正式名称「株式会社

東郷製作所」、創業1881年(明治14年)

本社は愛知県、資本金3億4千万円、

売上高363億円、従業員数803名、

事業は、ばね関係を中心に自動車

ハイブリッドシステム、内外装、エンジン、

トランスミッション、ブレーキ関係、

その他ガス配管、理化学機器、介護

福祉関連製品ということで、HPは

以下となっています。

 

http://www.togoh.co.jp/index.php

 

 この東郷さん、福祉関連製品と

いうことで、中京大学工学部加納政芳

准教授と組んで、赤ちゃんロボット

「スマイビ」というのを発売しているん

です。

 

http://www.togoh.co.jp/products/care-smiby.html

 

 この赤ちゃんロボは、だっこすると

笑って、ほおっておくと泣いたりして、

高齢者の心を癒すのがねらいなんだ

そうですね。 

 

 内蔵センサーで姿勢や動きを感知し、

激しく揺さぶられると青いランプの涙を

流し、あやすとほおを赤らめて笑うんだ

そうで、状況に応じて約500種類の声を

出すそうです。

 

 この前書いた、以下の同じ目的の

メンタルコミットロボット「PARO」君は

36万円でしたが、こちらの東郷さんの

赤ちゃんロボ「スマイビ」君は、

73,440円と、ずいぶんお安くなりました。

 

oukajinsugawa.hatenadiary.jp

 

 ということで、どんな発明なのか、

今回もプラピ(J-PlatPat)さんのお世話に

なってみましょう。

 

 そうすると、「出ーたーなー」ということで、

特開2012-220783「被介護者用ロボット

装置」というのがそうですね。

 

f:id:oukajinsugawa:20150824124418j:plain

 

 要約を見ると、課題は、「高齢者等及び

被介護者等の心に育幼の感覚を促す

ことで、高齢者等及び被介護者等の

精神的機能の減衰を抑制し、高齢者等

及び被介護者等が存在価値や生きがい

を発見することを支援することができる

被介護者用ロボット装置を提供する」

です。

 

 解決手段としては、「外部刺激検出手段

と、内部状態検出手段と、感情を含む自身の

状態を判定する状態判定手段と、判定した

状態を表現する状態表現手段と、を備えて

乳児を模擬した被介護者用ロボット装置1

であって、状態判定手段は外部刺激検出

手段にて検出した外部状態と内部状態

検出手段にて検出した自身の内部状態

とに基づいて自身が備えられている

被介護者用ロボット装置が、機嫌の

良い状態を表す通常状態と機嫌の

悪い状態を表す欲求状態と寝入って

いることを表す睡眠状態との少なくとも

3つの状態のいずれの状態であるかを

判定し、判定した状態に応じて状態

表現手段を動作させて被介護者用

ロボット装置1の状態を表現する。」

んだそうで、シーケンスとしては以下と

なっています。

 

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 赤ちゃんロボットですので、「おねんね」

処理が重要なんですね。

 

 ということで話は変わって、最近

発表された、「ERICA」というアンドロイド

(以前に、木村拓哉さん主演の「安堂

ロイド」というテレビ番組がありましたね)

に近いものがあります。

 

https://newswitch.jp/p/1590

 

http://www.jst.go.jp/pr/announce/20150803-2/

 

 「人間と自然に対話するアンドロイドで、

見た目は美人顔の特徴を参考にコンピュー

ターで合成され、振る舞いは現時点で

最先端の音声認識音声合成、動作認識、

動作生成の技術を統合して作られて

いる」んだそうです。

 

 さらにはこのERICAちゃん、違和感の

ない自然な対話を追求する研究プラット

フォーム(研究基盤)とすることで、自律

対話型アンドロイドの実現が期待される

んだそうです。

 

 特許出願を調べると、発表で登壇して

いる、大阪大学石黒浩先生は、表情

検出や不快度推定、顔しかめ検出などの

相手の表情を推定する出願がされており、

京大の河原達也先生は、質問応答システム、

話し言葉認識など音声認識関係の出願が

されていましたが、「ERICA」ちゃん自体の

出願公開はまだありませんでした。

 

 ということで、それではまた。