それでは、まずは、 FI(File Index)から
行きましょう。
今まで説明してきたように、IPCは
世界的な特許分類なわけですが、この
中の技術で特に諸外国に比べて一段と
進んでいる技術の存在、あるいは日本
特有の技術の存在、例えば、日本茶、
お米の処理関係など、IPCの展開を
そのまま使用すると多量の特許文献が
集中し、検索などに不都合が生じる
場合があります。
(つまりは、検索したはいいけれども、
すんげー多くて困ってしまう、という
ようなことになります)
そこで、このような場合に対応する
ために、日本では、IPCをベースとして
IPCに展開記号及び/または分冊識別
記号を付加する形で日本独自に細展開
したFIというものを使用しています。
FIはIPCの利用を円滑にする手段と
して、基本的に国内文献の検索に使用
されるものであり、IPCの項目数が
現在6万8千のところ、FIは約19万の
項目から構成されています。
(つまりは、日本での特実出願、特実
公開を調べるためのもので、海外文献の
調査には使えません。
(実用新案にも使えるんですよ。))
ということで、FI記号がどのような
構成になっているのかを、「国際特許
分類、FI、Fタームの概要とそれらを
用いた先行技術調査(平成26年度)」
から貼り付けさせてもらいましょう。
尚、この、特許分類検索上級編は、
最初、26年版を使用したため、26年
版としていますが、INPITの資料は27年
版がすでに出ており、URLは以下となり
ます。(下のFI記号の貼り付け資料は、
26年版も27年版も同じです)
http://www.inpit.go.jp/content/100640809.pdf
IPCではクラスとかグループとかいろいろ
分かれていたわけですが、上のように、また
またいろんな名前のもので細分化されて
いるわけですね。
「もうー、さっぱりわかんねーじゃねーか」
というところですが、「えーい、仕方がない」
ということで、さらにINPITの説明資料を
読んでみることに致しましょう。
上の表2を見ると、FI記号というのは、
IPC記号に、分冊識別記号や、展開記号、
はたまた、この両方がくっついたものの
ようですね。
それでは、展開記号とはなんぞや?と
いうと、展開記号とは、IPCの最小単位で
あるグループを更に細かく展開するために
用いられる記号をいうんですって。
この記号には、原則として100より
始まる3桁の数字が使用されているんです。
上の表2では301とか104が付されて
いますね。
ちなみに、上の図7を見てもらえれば
わかりますが、IPCはG01B12/345ですが、
FIはG01B12/34 101Bとなっており、
IPCG01B12/345そのものに、101を
付しているというわけではなく(多くは、
そうですが)、IPCとちょっと違った
体系になっているものがありますので、
気をつけましょう。
(INPITの上の図7に書かれている、
IPCやFIは、説明のために作った、
まったく架空のものが書かれていますので、
PMGSで調べても、「そんなのないもんねー」
という答えがむなしく返ってくるだけです
ので注意しましょう)
展開記号にもIPCのグループと同様に、
以下のように階層を示すドットが付されて
おり、IPCと連続した階層を持っているん
ですよ。
この例21は、34/02と34/24の間に
FIが沢山あるのですが、途中のFIが
省略されています。
それでは次は、分冊識別記号です。
分冊識別記号とは、IPCまたは展開記号を
更に細かく展開するために用いられる記号
だそうです。
「なんでそんなにわけのわかんない記号を
つけんだよー」というところですが、特許庁
さん、我々の便宜のために分類しているん
ではなくて、審査官が検索しやすいように
作っていて、サービスで我々にも公開して
くれているだけですので、「まあ、仕方が
ないか」ということで、説明を読んで
みましょう。
この記号は、「I」、「O」を除くA~Zの
アルファベット1文字を使用しているんだ
そうで、以下のようになります。
このアルファベットの分冊識別記号が展開
されているところでは、必ず「Z その他」と
いう分冊識別記号があって、展開されている
分冊識別記号に属さないものが分類される
んですよ。
次は、ファセット分類記号です。
「えーっ、今までそんなの出て来なかった
じゃん?」というところなのですが、さらに
さらに異なる分類記号があるんです。
ファセット分類記号とは、FIの全範囲または
所定の範囲(例えば、サブクラスまたは複数の
グループの範囲)を、FIとは異なる観点か
ら展開する分類記号のことなんであーると
書かれています。
ファセット分類記号を用いることにより
FIとは別の観点からのサーチが可能となる
んだそうで、ファセット分類記号には、3個
の英文字が使用されるんです。
ファセット分類記号の第1番目の英文字は、
以下のように、通常該当するセクション記号と
同一なんです。
すなわち、B21のところで使われるので、
BBFとかBBGとかになるわけで、この
記号で検索できるのは、FIのB21Bの
37/00~37/14と書かれていますが、
実際は以下のように、37/00~37/78
までを横断的に調べることができます。
複数のセクションにまたがる技術の横断的
サーチもできるものがあり、これが、広域ファ
セット分類記号で、1番目の英文字は「Z」が
用いられ(例.核酸/アミノ酸配列に関する
もの:ZNA、ナノテクノロジー応用技術:ZNM)、
2番目及び3番目の英文字には「I」と「O」を
除いた英文字が使用され、これら3文字から
なるファセット分類記号となっています。
そのうち、広域ファセットでの検索例
なども書いてみたいと思いますが、とり
あえずは下のINPITの資料に使用されて
いるのは、架空の分類記号ですが、
ご参考。
(ZNAはありますが、G02C9/87というIPCは
ありませんので、架空でZNAを付加している
だけです。
ちなみに、IPCでもファセット記号は
あったのですが、第8版になってなくなって
しまいました。
したがって、第7版までのIPCが使われて
いる文献には、ファセットが記載されて
いるものがありますし、これらは、昔の
ファセットで検索できますよ。
ということで、次回はFタームを見て
行ってみましょう。