知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

特許分類検索上級編 第6回 File Indexとは

 それでは、まずは、 FI(File Index)から

行きましょう。

 

 今まで説明してきたように、IPCは

世界的な特許分類なわけですが、この

中の技術で特に諸外国に比べて一段と

進んでいる技術の存在、あるいは日本

特有の技術の存在、例えば、日本茶

お米の処理関係など、IPCの展開を

そのまま使用すると多量の特許文献が

集中し、検索などに不都合が生じる

場合があります。

(つまりは、検索したはいいけれども、

すんげー多くて困ってしまう、という

ようなことになります)

 

 そこで、このような場合に対応する

ために、日本では、IPCをベースとして

IPCに展開記号及び/または分冊識別

記号を付加する形で日本独自に細展開

したFIというものを使用しています。

 

  FIはIPCの利用を円滑にする手段と

して、基本的に国内文献の検索に使用

されるものであり、IPCの項目数が

現在6万8千のところ、FIは約19万の

項目から構成されています。

(つまりは、日本での特実出願、特実

公開を調べるためのもので、海外文献の

調査には使えません。

(実用新案にも使えるんですよ。))

 

 ということで、FI記号がどのような

構成になっているのかを、「国際特許

分類、FI、Fタームの概要とそれらを

用いた先行技術調査(平成26年度)」

から貼り付けさせてもらいましょう。

 

 尚、この、特許分類検索上級編は、

最初、26年版を使用したため、26年

版としていますが、INPITの資料は27年

版がすでに出ており、URLは以下となり

ます。(下のFI記号の貼り付け資料は、

26年版も27年版も同じです)

 

http://www.inpit.go.jp/content/100640809.pdf

 

f:id:oukajinsugawa:20150630074420j:plain

 

 IPCではクラスとかグループとかいろいろ

分かれていたわけですが、上のように、また

またいろんな名前のもので細分化されて

いるわけですね。

 

 「もうー、さっぱりわかんねーじゃねーか」

というところですが、「えーい、仕方がない」

ということで、さらにINPITの説明資料を

読んでみることに致しましょう。

 

 上の表2を見ると、FI記号というのは、

IPC記号に、分冊識別記号や、展開記号、

はたまた、この両方がくっついたものの

ようですね。

 

 それでは、展開記号とはなんぞや?と

いうと、展開記号とは、IPCの最小単位で

あるグループを更に細かく展開するために

用いられる記号をいうんですって。

 

  この記号には、原則として100より

始まる3桁の数字が使用されているんです。

 

 上の表2では301とか104が付されて

いますね。

 

 ちなみに、上の図7を見てもらえれば

わかりますが、IPCはG01B12/345ですが、

FIはG01B12/34 101Bとなっており、

IPCG01B12/345そのものに、101を

付しているというわけではなく(多くは、

そうですが)、IPCとちょっと違った

体系になっているものがありますので、

気をつけましょう。

 

(INPITの上の図7に書かれている、

IPCやFIは、説明のために作った、

まったく架空のものが書かれていますので、

PMGSで調べても、「そんなのないもんねー」

という答えがむなしく返ってくるだけです

ので注意しましょう)

 

 展開記号にもIPCのグループと同様に、

以下のように階層を示すドットが付されて

おり、IPCと連続した階層を持っているん

ですよ。

 

f:id:oukajinsugawa:20150630074535j:plain

 

 この例21は、34/02と34/24の間に

FIが沢山あるのですが、途中のFIが

省略されています。

 

 それでは次は、分冊識別記号です。

 

 分冊識別記号とは、IPCまたは展開記号を

更に細かく展開するために用いられる記号

だそうです。

 

 「なんでそんなにわけのわかんない記号を

つけんだよー」というところですが、特許庁

さん、我々の便宜のために分類しているん

ではなくて、審査官が検索しやすいように

作っていて、サービスで我々にも公開して

くれているだけですので、「まあ、仕方が

ないか」ということで、説明を読んで

みましょう。

 

 この記号は、「I」、「O」を除くA~Zの

アルファベット1文字を使用しているんだ

そうで、以下のようになります。

 

f:id:oukajinsugawa:20150630074609j:plain

 

 このアルファベットの分冊識別記号が展開

されているところでは、必ず「Z その他」と

いう分冊識別記号があって、展開されている

分冊識別記号に属さないものが分類される

んですよ。

 

 次は、ファセット分類記号です。

 

 「えーっ、今までそんなの出て来なかった

じゃん?」というところなのですが、さらに

さらに異なる分類記号があるんです。

 

 ファセット分類記号とは、FIの全範囲または

所定の範囲(例えば、サブクラスまたは複数の

グループの範囲)を、FIとは異なる観点か

ら展開する分類記号のことなんであーると

書かれています。

 

 ファセット分類記号を用いることにより

FIとは別の観点からのサーチが可能となる

んだそうで、ファセット分類記号には、3個

の英文字が使用されるんです。

 

 ファセット分類記号の第1番目の英文字は、

以下のように、通常該当するセクション記号と

同一なんです。

 

f:id:oukajinsugawa:20150630074650j:plain

 

 すなわち、B21のところで使われるので、

BBFとかBBGとかになるわけで、この

記号で検索できるのは、FIのB21Bの

37/00~37/14と書かれていますが、

実際は以下のように、37/00~37/78

までを横断的に調べることができます。

 

f:id:oukajinsugawa:20150630074734j:plain

f:id:oukajinsugawa:20150630074752j:plain

 

 複数のセクションにまたがる技術の横断的

サーチもできるものがあり、これが、広域ファ

セット分類記号で、1番目の英文字は「Z」が

用いられ(例.核酸/アミノ酸配列に関する

もの:ZNA、ナノテクノロジー応用技術:ZNM)、

2番目及び3番目の英文字には「I」と「O」を

除いた英文字が使用され、これら3文字から

なるファセット分類記号となっています。

 

 そのうち、広域ファセットでの検索例

なども書いてみたいと思いますが、とり

あえずは下のINPITの資料に使用されて

いるのは、架空の分類記号ですが、

ご参考。

(ZNAはありますが、G02C9/87というIPCは

ありませんので、架空でZNAを付加している

だけです。

 

f:id:oukajinsugawa:20150630074840j:plain

 

 ちなみに、IPCでもファセット記号は

あったのですが、第8版になってなくなって

しまいました。

 

 したがって、第7版までのIPCが使われて

いる文献には、ファセットが記載されて

いるものがありますし、これらは、昔の

ファセットで検索できますよ。

 

 ということで、次回はFタームを見て

行ってみましょう。