知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

バットで飛ばすぞ、ホームラン!

 本日は野球の話です。

 

 「おっ、そろそろ8月が近いので、

甲子園の話か?」というところですが、

ちょっと違ってわれわれオジサンの趣味の

野球の話です。

(ちなみに、堂場舜一さんの「大延長」

という野球小説は、おもしろいですよ)

 

 以下のように矢野経済研究所から、

「スポーツ用品市場に関する調査結果

2015」というものの概要が出ていますが、

スポーツ用品国内市場規模は増加して

いるようですが、野球やソフトボール用品

市場は、ほぼ横ばいなんだそうです。

 

http://www.yano.co.jp/press/pdf/1384.pdf

 

 それぞれのスポーツ用品の売れ行きは、

PDFを見ていただくとして、スキーや

スノボ、ゴルフなどは横ばいのようですね。

 

 まあ、ゴルフクラブなどは、「飛ぶぞ、

飛ぶぞ」と宣伝はされているものの、

「スィートスポットに当たれば」、という

フレーズが抜けているわけでして、常に

スィートスポットに当たるシニアプロなどは

この恩恵を十分に受けていますが、シングル

にもならないアマチュアはいくら良いクラブを

使っても全然変わらないというのがわかって

来たのでしょう。

 

 「スィートスポットを広げました」という

クラブが多いですが、やっぱりうまくいか

ないわけでして。

(「バカヤロー、俺は恩恵を受けているぞ。」

という方が読んでいたら、すんません)

 

 ということで、野球のほうに話を戻して、

エスエスケイさんの軟式用の野球バット

「ハンターマックス」が売れているんで

すってね。

 

http://www.ssksports.com/baseball/huntermax_debut/

 

 製品のホームページは上のようになるの

ですが、消費税抜きで3万5千円とお高い

ですが、初年度の販売目標が5千本の

ところ、すでに3千本の注文が入っている

のだそうです。

(新聞の受け売りです)

 

 このハンターマックスは、このシリーズ

4代目で、初代は「ナイスハンター」という

名で2006年の発売で、バットに凸凹を

つけることにより、ボールの変形を抑え、

打球のスピードをアップさせているのだ

そうです。

 

 軟球の場合、硬球よりもバットに当た

った場合の変形度が大きいわけですが、

変形からの球状に戻る時間が長いほど、

空気抵抗を受けることになります。

 

 ハンターシリーズは、凹部がボールの

変形を抑え、凸部でボールを押し出す力を

加速させるそうです。

 

 今回のハンターマックスは、凸部と

凹部の比率を変えてボールを捉えやすく

して、ヒットを打ちやすくしたとの

ことで、ヒットを打ちやすくするか、

カックラキーン狙いにするかで、バットの

種類を変える戦法が使えるとのことですが、

そんなにバットによってヒットやホーム

ランの確率が変わってもいいんでしょう

かね。

 

 むかーし、昔のその昔に、私がまだ

中学性で、軟式野球の時代には、竹で

できたバットは飛びすぎるので、

「試合での使用禁止!」とか言われた

記憶がありますが。

 

 ということで、エスエスケイさんは

どんな特許出願をしているのかを見て

みましょう。

 

 エスエスケイさんの、このバットに

関する出願は、出願が2005年12月

(ハンターシリーズの最初の発売は

2006年でした)、特開2006-341072

「野球用又はソフトボール用バットと

その製造方法」というもので、図は

以下のようになります。

 

f:id:oukajinsugawa:20150611073006j:plain

 

 この特許出願は、残念ながら、拒絶査定と

なっており、この「凸凹」バットに関しては、

これ以後出願されていませんが、とりあえず、

どんなことが書かれているのか見てみましょう。

 

 請求項と明細書から抜粋編集すると、

「表面が凹状部の谷及び凸状部の山を

バットの円周にそって交互に並列に多数条

設け、この凹凸部がバット表面に現れない

ように筒状に加工した0.5~3.0㎜厚の

ゴム、樹脂、皮革等のシートでバット表面を

被覆します。

さらに、凹凸状部は、5 ~ 20㎜ 間隔に

して、凸凹のの深さは、3㎜程度にする」

のがよいそうです。

 

 そうすると、最終的にバット表面に

シートを貼ると以下のようになります。

 

f:id:oukajinsugawa:20150611073029j:plain

 

 商標のほうは、「ナイスハンター」も、

「ハンターマックス」も、登録されて

いますので、運動用具などには使わない

ように致しましょう。

 

 ということで、草野球では、バットの力を

借りて、カックラキーンとホームランでも

ぶちかましましょう。