知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

乳酸菌PA-3とラクトバチルスガッセリー

 「なんだかよくわかんねーだろーが、

もっとわかる題名にしろよなー」という

ところですが。

 

 ということで、株式会社明治さんで、

PA-3というヨーグルトが発売されて

いますね。

 

http://www.meiji.co.jp/corporate/pressrelease/2015/detail/20150203_03.html

 

 私もヨーグルトを食べるのですが、

うっかりものの王花陣のため、スーパーで、

このヨーグルトをまだ見かけたことがない

のですが、次に行くときには、注意して見て

みることにいたしましょう。

 

 このヨーグルトを食べると、痛風の原因で

あるプリン体を減らしてくれるそうで。

(正確には、プリン体の前のヌクレオチド

などを取りこんでくれるそうですが)

 

http://www.meiji.co.jp/yogurtlibrary/laboratory/report/pa-3/top/

 

 株式会社明治ってどこだ?というと、

ご存知のように、昔の明治乳業さんだったり

するわけで、私は明治ブルガリアヨーグルト

しか知りませんので、PA-3ってなんだ?

というのをもう少し詳しく調べてみましょう。

 

 ホームページを見ると、PA-3のブランド

名は明治プロビオヨーグルトだそうですが、

プロビオとはプロバイオティクス(Probiotics)を

由来とする造語だそうで、プロバイオティクスは

「ヒトや動物に投与した際、健康に好影響を

与える生きた微生物あるいは生きた微生物を

含む食品、菌体成分」と定義されており、

抗生物質(アンティバイオティクス)の対比語

として、ヨーロッパでも健康志向の食品に

使われている新しい概念、だそうですよ。

 

 それでは、どんな特許が出てるんかいな?

ということで、今回もプラピ(J-PlatPat)

さんにお世話になりましょう。

 

 検索をかけると、「出~た~な~」という

ことで、特開2008-005834、再表2009/

069704、特開2013-048636がすべて同じ

発明の名称「血中尿酸値低減作用を有する

乳酸菌」で、3つ共、すでに特許登録が

されているんです。

(ちなみに、検索をかけるときに、

「株式会社明治」さんで検索をかけると、

昔の名前で出ています」という「明治

乳業株式会社」が抜け落ちてしまいます

ので、このような場合には、申請人識別

番号「000006138」で検索をかけないと

いけないですよ)

 

 この中で、どんなことが書かれているの

かを最新の特開2013-048636で見て

みましょう。

 

 まずは、課題としては、飲食品や医薬品

用途に適し、血中尿酸値の上昇を抑制可能

な乳酸菌を提供することだそうで、解決手段

としては、プリン体分解能の顕著な複数の

乳酸菌を選抜し、プリン体分解能が高いと

判断された乳酸菌を、プリン体含有飼料で

飼育したラットに経口投与し、当該マウスの

一般状態および血清尿酸値を測定し、

乳酸菌投与による血清尿酸値への

影響を検討したんだそうです。

 

 その結果、血清尿酸値の上昇を有意に

抑える乳酸菌:Lactobacillus gasseri OLL

2959および Lactobacillus oris OLL2779を

見出したんです。

 

 ということで、請求の範囲としては、

プリン体分解能を有し、ガス産生能を有しない、

Lactobacillus 属乳酸菌や、Lactobacillus

gasseri、Lactobacillus oris乳酸菌、

Lactobacillus gasseri OLL2959 (受託番号:

NITE P-224)やLactobacillus oris OLL2779

(受託番号:NITE P-223)等が書かれて

います。

 

 まあ、ブップカブップカおならの音が

うるさい王花陣にとっては、ガスが出ない

乳酸菌は歓迎ものですが。

(尾籠な話ですみません)

 

f:id:oukajinsugawa:20150626144114j:plain

 

 詳細な説明を見ると、「高尿酸血症は、環境

要因(生活習慣)や遺伝的要因により、尿酸

排泄低下や尿酸産生過剰がおこり、血中の

尿酸が過剰になった状態で、高尿酸血症

自覚症状がない場合もあるが、痛風、腎機能

障害、尿路結石動脈硬化症といった深刻な

合併症を引き起こす。高尿酸血症の代表的

合併症である痛風は、激痛を伴う急性関節炎が

主症状として現れ、過去には、痛風は「帝王の

病気」と呼ばれており、肉や魚、アルコール

などを頻繁に多く摂取する層の「ぜいたく病」で

あったが、近年では、食生活の変化によって

年々増加傾向にあり、現在の日本における

痛風の患者数は30~40万人、高尿酸血症

患者数は推定600万人といわれており、

高尿酸血症の予防および治療への関心が

高まっている」んだそうです。

 

さらには、「高尿酸血症の予防および治療は、

食事療法、運動療法、医薬品およびこれらの

組み合わせで血中の尿酸値をコントロール

することによって行われ、特に、摂取カロリー

制限は高尿酸血症の予防および治療方法

として最も選択される方法の一つであるが、

厳しいカロリー制限を継続することは必ず

しも容易ではない。このような状況を改善

する方法として、プリン体を分解する乳酸菌、

酵母などの微生物を経口的に(例えば医薬品、

飲食品として)摂取させて、腸管内で食事

から摂取されたプリン体を分解し、その

体内への吸収を減少させ、血清尿酸値を

低減させる方法が提案されている」ので、

もっとPA-3を食べたり飲んだり致しま

しょうということだそうです。

(かぎかっこの中以外は私が書き足し

たので、明細書にはこのようには書かれて

いませんので念のため)

 

 ということで、私も、機会があったら、

ガス産生の問題がないといわれる、

「ラクトバチルスガッセリー」を食べたり

飲んだり致しましょう。