知財アナリストのひとりごと

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二十世紀の予言 その3  PROFILES OF THE FUTURE

 アイザック・アシモフや、アーサーC.クラーク、

有名ですよね。

 

 アイザック・アシモフは、ロボット三原則などを

提唱したり、SF小説では「ミクロの決死圏」とか

いろいろありますし、クラークさんは、「2001年

宇宙の旅」など有名です。

 

 この2人にロバートA.ハインラインを含めて、

SF界のビッグスリーと呼ぶそうですが。

 

 この3人はSF作家として有名ですが、

実は、アシモフさんとクラークさん、科学

解説などの書籍も多数出版しており、

 アシモフさん、SFよりも、言語、歴史、聖書、

科学などについて書いた書籍のほうが多く、

さらには、書籍出版100冊ごとに出版された

OPUS100とかOPUS200とかもありますね。

 

 クラークさんも、科学解説の書籍は多く、

「Interplanetary Flight」、「The Exploration 

of The Moon」、「The View From Serendip」

などなど、いろいろあるのですが、

「PROFILES OF THE FUTURE」という技術的

未来について書かれた本があります。

 

 これは、1958年から1962年にかけて

いろいろな雑誌に書いたものを、1962年に

1冊の本にまとめて出版されたもので、

西暦2100年までに、科学技術はどこまで

進歩するかを解説したものなんです。

 

 つまりは、今から50年以上前に、科学

技術的に、未来はどうなるかというのを予測

したものなんですね。

(私が持っているものはペーパーバックで、

U.K. £1.50となっていますので、昔は安かった

ですね)

 

 ちなみに、ハヤカワ文庫では、NFシリーズ

というのがあるのですが、これは、海外などの

ノンフィクションを文庫版で出版しているもので、

この、「PROFILES OF THE FUTURE」という

のも、1980年に翻訳されて「未来のプロフィル」

として、NFシリーズで出版されています。

(現在は、本屋さんで見かけないので、絶版に

なっているのでしょう)

 

 アイザック・アシモフの科学解説ものも、

NFシリーズとして出版されていますが、

こちらのほうも現在見かけないので、絶版に

なっているのでしょう。

  

 ということで、今回は、この、アーサーC.

クラークさんの「未来のプロフィル」を

読みながら、意味がよくわからないところは、

原文にあたりながら、未来はどんな予測が

されていたのかというのを書いてみましょう。

 

 尚、二十世紀の予言その1、その2は

以下を見てください。

 

oukajinsugawa.hatenadiary.jp

 

oukajinsugawa.hatenadiary.jp

 

 まずは、ノンフィクションを書いた時点の

現在(1960年代ですね)と、過去に起きたこと、

さらには今の(1960年頃です)技術の伸び

から外挿法を活用して、未来はどうなるのか?

という表が載っていますので、ちょっと編集して

載っけてみましょう。

 

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 上の表の見方で、例えば年代の1800を

見てみると、1800年から1849年までに

何が起きたかというのを示しています。

 

 上表では、2020年に「惑星構造探査」

となっていますが、原文では、2080年の

「恒星間飛行」と同じ言葉の「Interstellar」

という単語が使われていますので、2020年

のほうは「恒星構造探査プローブ」というのが

正しいのでは?と思います。

 

 2080年の「恒星間飛行」というのは、

「Interstellar flight」となっていますので、

人間を乗せた飛行でしょう。

 

 2000年に「全地球図書館」というのがあり

ますが、英語のほうで「Global Library」と

なっていて、当時日本でも言葉がなかった

ので直訳となっていますが、今では「WEB」や

「インターネット」という言葉が近いのでは?

 

 2070年の「物品再生のための記録機」と

いうのは、原文では「Coding of Artifacts」と

なっていて、「物品再生製造プログラム」と

いうのが近いでしょう。

 

 1970年代に「燃料電池」というのがありますが、

原文では1980年代になっており、出版での

間違いでしょう。(英語のほうも「Efficient

Electric Storage」となっており、燃料電池

だけを言っているのではないようです)

 

 2040年に「人工突然変異」というのが

あり、原文では「Transmutation」となって

いるので、何か、ミュータントを人工的に

作り出すようなことを連想しますが、

原文の内容を読むと、原子核変換を

おこなって、他の元素を作り出す、

いわゆる錬金術のようです。

 

 2090年の複写製造機というのは、

原文では「Replicator」と簡単なのですが、

原文を読むと、自分で考えて、その物と

まったく同じものを作る機械だそうです。

 

 すなわち、3Dプリンターが、自分で

考えて、その物と全く同じ物を作って

くれるようなもので、現在の言葉にすると、

AI3Dプリンターですね。

(その、ロボット版3Dプリンターの開発に、

莫大な投資が必要でも、完成した暁には、

2台目からは、自分自身で自分自身を作って

くれるので、投資は回収できるそうですよ)

 

 上の表を見てみると、アーサーC.クラーク

さんはSF的な見方に思い入れがあるで

しょうから、宇宙や、自然科学などの

予測は先進的過ぎて、本当に達成できるのか

どうか不明ですが、逆に、用具、製造、

工業的なものは、現実世界のほうの達成が

早いのではないでしょうか。

 

 2090年代に達成予定だった複写製造機

など、もう3Dプリンターとして出回って

いますもんね。(クラークさんが書いて

いるのは、上のように、もっと進んだ

ロボット版3Dプリンターなので、ロボット

版(AI版)はまだ出ていませんが)

 

 1990年代にはサイボーグがうまくいって

いるそうですが、どうなんでしょう?

 

 サイボーグの定義がはっきりしていない

のでなんとも言えませんが、少なくとも、

サイボーグ009」や、「8マン」は出て

きていませんね。

ロボットスーツなどは出てきていますが)

 

 それでは、クラークさんが思い描いた未来を

さらに覗いてみましょう。

 

 まずは、実現に先立って予想された発明・

発見と、全く予想されなかったものがあると

いうことで、以下のようになっています。

 

予期されなかったもの

X線

原子核エネルギー

ラジオ、テレビ

エレクトロニクス

写真

レコード

量子力学

相対性理論

トランジスタ

メーザー、レーザー

スーパーコンダクター、超流動

原子時計、メスバウアー効果

天体の位置測定

過去の時間測定(炭素14等による)

不可視惑星の発見法

イオン圏、バンアレン帯

 

予期されたもの(必ずしも実現していないものも含む)

自動車

飛行機

蒸気機関車

潜水艦

宇宙船

電話

ロボット

殺人光線

錬金術

人工生命

不死

透明(人間)

空中浮揚

テレポーテーション

死者との交信

過去、未来を知る

テレパシー

 

 予期されなかったものに、ラジオやテレビが

入っているのですが、表現の違いはあるものの

予期されていたような気がするのは、私だけ?

 

 ということで、まだ、詳細を書いていませんが、

今回はこのくらいにして、そのうち忘れたころに

この続きを書くことと致しましょう。

 

 それでは、また。