知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

海産物のきむらやさん その2  制がん剤副作用抑制効果

 この前、二日酔い予防できむらやさんを

取り上げました。

 

oukajinsugawa.hatenadiary.jp

 

 今回は、以前にも書いた日本海新聞で、

きむらやさんが制がん剤副作用を抑制

する効果で米国特許を取ったというのが

載っていました。

 

http://www.nnn.co.jp/news/150429/20150429009.html

 

 この前調べた日本の出願公開に、再表

2011/036904「制癌剤副作用抑制剤」と

いうのがありましたので、きっとこれでしょう。

(再表というのは、簡単にいうと、特許の

国際出願(PCT出願)について、日本でも

公表しましょ、というものです(公表には

条件があります))

 

 ということで、この再表2011/036904を

詳しく見てみましょう。

 

 まずは、いつものプラピ(J-PlatPat)さん

ですね。

 

https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/all/top/BTmTopPage

 

 ここで、特許・実用新案の番号照会に

いってみましょう。

 

 ここで、種別を「再公表」にして、番号を入れて

みましょう。

 

f:id:oukajinsugawa:20150501124116j:plain

 

 そうすると、国際公開番号や、日本の

出願番号などがわかります。

 

 f:id:oukajinsugawa:20150501124149j:plain

 

 それでは、US特許が公開されているで

しょうから「espacenet」で調べてみましょう。

 

http://worldwide.espacenet.com/?locale=jp_JP

 

 今回は国際公開番号がわかって

いますので、いきなり番号を入れて

「検索」をクリック致しましょう。

 

f:id:oukajinsugawa:20150501124240j:plain

 

 そうすると、出-たーなーというところで、

下の赤枠のところをクリック致しましょう。

 

f:id:oukajinsugawa:20150501124308j:plain

 

 同じものが2つづつありますが、シカト

して、USのA1というのが米国出願公開、

B2というのが登録されたものですが、

隠れているものもありますので、「次へ」

をクリックすると、EPも出てきて、EUでの

公開がわかります。

 

 f:id:oukajinsugawa:20150501124411j:plain

 ということで、USで登録されたのは

わかりましたが、日本ではどうなったのか

が気になるので、プラピさんで調べると、

これが拒絶になっているんですね。

 

 きっと拒絶査定不服審判をおこなって

いるのではないか?と思いますが、ほかの

請求項は分割出願をして(2014-218444)、

出願公開がされており(特開2015-17135)

こちらのほうも審査請求がされました。

 

 でも、日本で拒絶されたのに、なんで

USでは登録されたんだ?と思いますよね。

 

 これには深ーいからくりがあるんです。

(別にからくりでもなんでもないですが)

 

 実は、おんなじ出願をいろんな国に

したとしても、中身がみんなおんなじ

とは限らないんです。

 

 PCT出願をすると、国際調査報告と

いうものがされるわけですが、これを

見て、それぞれの国でどのようにするか

検討するのですが、今回のPCT出願

の請求項は、進歩性が疑われると

いう評価か、手術又は治療法なので、

調査をしませんよというものなんです。

 

 ということで、USのほうは、最初の

請求項は15あったのですが、少し

変更したりして、6つの請求項にして

登録されたんです。

 

 同じような方法で、日本の分割出願

では、請求項を5つにして審査の

請求をしてるんです。

 

 女性のがん死亡率1位は大腸がんです

ので、効果があるんだったら、薬物療法

副作用抑制のために、きむらやさんに

是非頑張って欲しいもんです。