知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

医療用材料分析番外編  HOYA Technosurgical株式会社

 国立研究開発法人科学技術振興機構

というのがあるのをご存知でしょうか?

 

http://www.jst.go.jp/index.html

 

 ここは何をしているところかいな?と

いうことで、「JSTのご紹介」というところや、

「沿革」を見てみると、大学や国立研究所等の

優れた研究成果を発掘し、その企業化を

図ったり、研究開発戦略の検討、基礎研究の

支援や成果の産業界への橋渡し、を、おこなって

いるそうです。

 

 ということで、今回のブログは、科学技術

振興機構(JSTと略すそうです)さんが何を

しているのかというのを説明することが

目的ではありませんので話を進めるとして、

ここで、毎月出している、以下の「JSTnews」

というのが結構おもしろく読むことができます。

 

http://www.jst.go.jp/pr/jst-news/backnumber/2015.html

 

 今回は、この2014年の4月号で紹介

されている「再生医療を支える”骨”っぽく

ない骨」という記事を参考にさせていただいて

HOYA Technosurgical株式会社さんについて

調べてみましょう。

 

 まずは、HOYA Technosurgical株式会社

さんのHPは以下となり、2013年10月1日に

HOYAさんのセラミックス製インプラント

事業(セラミックス製人工骨の製造・販売)を、

会社分割(吸収分割)により、HOYAさんの

100%子会社の株式会社日本ユニテックに

承継させ、商号を「HOYA Technosurgical

株式会社」に変更し、本社新宿、資本金

1億5万円!!(シャープさんが資本金を

1億円に減らすとか、断念して5億円に

したとかいろいろありますが、テクノ

サージカルさんは逆のようです)、

従業員数250名(現在はよくわかりません)、

事業内容は、医療用機器・器具・用具の製造

・販売および輸出入(整形外科関連)と

なっています。

 

http://www.hoyatechnosurgical.co.jp/

 

 ご存知のように、HOYAさんは2007年に

株式公開買い付けにより、ペンタックスさんを

結子会社化したりした関係で、テクノサー

ジカルさんのHPでは、「昔の名前で出て

います」??ということで、PENTAXのブランド

名は健在です。

 

 ということで、この「骨っぽくない骨」って、

何じゃい?ということなのですが、人工骨

って、固くて欠けやすかったりして取扱い

が面倒なのだそうですが、この人工骨は

血液や水に浸すとスポンジのように

弾力性が生じ、破損することなく、メス

とかで自由にサイズ調整できるんだ

そうです。

 

 「骨っぽくない骨」という意味はそういう

ことなのですが、この発明の味噌は、

この柔らかくできるというのもありますが、

一番大きなものは、また違ったところに

あるそうです。

 

 骨というのは、骨をメンテナンスする

細胞が、古い骨を破壊して、新しい骨を

作るという新陳代謝を繰り返しているんだ

そうです。(骨って、できたらそのまま

じゃあなかったようです)

 

 このため、人工骨としては、金属や堅牢な

セラミックスで作られたものがありましたが、

固すぎて周囲の組織になじみにくかったり、

成長期の子供には長期に使えないという

欠点がありました。

 

 1980年台に、以下の以前のブログに書いた

ように、骨に近い成分であるHAPや、さらに

吸収置換性に優れたTCPが開発されましたが、

やはり硬くて加工しにくいというのが欠点

だったそうです。

 

oukajinsugawa.hatenadiary.jp

 

 このため、上記したように、柔らかい状態に

できる人工骨を開発したわけですが、さらに、

骨と類似した組成や構造とするために、

コラーゲン繊維の隙間にナノレベルHAP

結晶を整列させ、コラーゲン複合繊維に

することにより、より骨に近く、弾力性が

あり、欠けにくい人工骨としたそうです。

 

 骨と一体化するためには、人工骨が

生体内の骨代謝サイクルに取り込まれ、

自家骨に置換されることが重要で、

このためには、人工骨の気孔のコントロール

が重要だそうで、これにより、以前にも

増して、自家骨との一体化が図られました。

 

 それでは、この発明はどのようにして

生まれたのかというと、最初は十数年

前に田中順三さん(当時物質・材料研究

機構、現在は東工大名誉教授)や、東京

医科歯科大の研究グループが開発した

素材だそうで、ペンタックスさんが研究に

参加し、2003年からさらに研究開発

されたそうです。

 

 ということで、どんな特許なのか見てみる

ことにしましょう。

 

 田中先生の登録特許を検索すると

98件も出てきており、2015年まで、

コンスタントに登録がされていますが、

2002年までの古いもので、関係あり

そうなものは、以下のようになりました。

 

f:id:oukajinsugawa:20150514124115j:plain

 

 テクノサージカルさんのほうはどうかいな?

ということで、研究開発をおこなった、「庄司

大助」さんで検索をかけると、以下のような

登録特許となっていました。

 

f:id:oukajinsugawa:20150514124136j:plain

 

 気孔の制御方法というのもありますね。

 

 研究開発成果は、以下のアパセラム-AX

とか、リフィットなどの製品に生かされている

のでしょうか?

 

http://www.hoyatechnosurgical.co.jp/pentax/newceramics.php

 

 医療関係者ではないため、HPからは

これ以上の情報を得られませんが。