知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

パテントマップ特許分析自動車自動運転編 3 IPC分類B60TとB62

 前回はB60Wを調べてみましたが、

そのほかに車の制御関係がないかいな、

と調べると、「B60T 車両用制動制御方式

またはそれらの部品」というのもありますね。

 

 ということで、B60Tは以下のように

なっていました。

 

・1/00 制動要素,すなわち制動効果を起す部品の構成  

・3/00 車両が不意に動くのを阻止するためのもち運びできる装置,例.止め木  

・5/00 制動装置の冷却を助長するための車両の改造、制動制御方式またはその部品  

・7/00 制動をきかせる初動装置  

・8/00 車両の状態または路面状況の変化に適合するための車輪制動力の調整装置  

・10/00 流体または粉体媒体を用いて連続制動するための制御または調整

・11/00 補助動力または駆動力のないまたはそのような補助動力や駆動力と無関係なところでの初動装置から最終制動作動器への制動動作の伝達  

・13/00 補助動力または駆動動力を用いて初動装置から最終制動作動器への制動動作の伝達

・15/00 動力制動方式に組み込まれた弁の構造,配置または作動

・17/00 その他の独特の特色を示す制動方式の構成部品,細部または付属品

 

 よく、バスが停車しているときに、

運転手さんが木でできた車輪止めを

使っていますが、あの車輪止めも

技術分類にあるんですね。

 

 驚きました。

 

 自動運転のほうは、「制動をきかせる

初動装置7/00」あたりが関係しそうです

ので、これをさらに見てみましょう。

 

・7/00 制動をきかせる初動装置  

・7/02 ・人力で初動を行うためのもの

・7/04 ・・足で行なうもの  

・7/06 ・・・ペダルの配置  

・7/08 ・・手で行なうもの

・7/10 ・・・手動操作部品の配置

・7/12 ・自動初動のためのもの;運転者や乗客の意志によらない初動のためのもの  

・7/14 ・・運転者が倒れたときに作動するもの

・7/16 ・・遠隔制御によって作動するもの,すなわち初動装置が乗物にとりつけられていないもの

・7/18 ・・・路傍装置によって作動するもの

・7/20 ・・トレーラ用の特別なもの

・7/22 ・・車両,例.バンパー,と外部物体

 

 運転者が意識不明になったとき

などに自動で運転してくれたり、遠隔

操作をしてくれたり、人力!!なども

ありますが、まあ定常時の自動運転を

調べることとして、こちらのほうは、

B60T7/12を選ぶことといたしましょう。

 

(尚、やみくもにIPCの分類表を見て

みても、探すものが合っているのか

いないのかわかりませんので、たとえば

一番最初に、発明の名称などに「自動

運転」などと指定して先行文献を検索し、

探すものと一致する文献を数件探し出し、

あらかじめその文献に付与されている

IPCを調べておくのがよいですよ。

 

 私も最初は付与されたIPCを調べて

おいて、前記のようにIPCを探す

作業をおこなっています。)

 

 それでは、次はB62を調べてみま

しょう。

 

 先行文献で調べると、自動運転に

B62Dが付与されているのが結構

ありました。

 

ということでB62は以下のようになり

ました。

 

・B62B 手動推進車両

・B62C 畜力牽引運搬車  

・B62D 自動車;付随車

・B62H 自転車スタンド  

・B62J 自転車用サドルまたはシート

・B62K 自転車;自転車のフレーム;自転車操向装置  

・B62L 自転車用制動装置 (注)/(索引)  

・B62M 車輪付車両またはそりの乗手推進

 

 我々の目指すものは、自転車の自動

運転ではありませんので(自転車も自動

運転してくれると楽ですが)、さらにB62D

を見てみると以下のようになります。

 

自動車または付随車の操向

・1/00 操向制御装置,すなわち,車両の方向変化を起こさせる装置  

・3/00 操向伝動装置

・5/00 動力補助または動力駆動される操向  

・6/00 走行状態を検出した結果に応じて自動的に操向装置を制御する装置  

・7/00 操向リンク

・9/00 他に分類されない転向できる車輪の操向  

・11/00 転向できない車輪の操向;無限軌道帯または類似のもの  

・12/00 直列に連結して作動されるか,または枢支して連結されたフレームを持つ車両に特に適合する操向  

・13/00 付随車に特に適用された操向  

・15/00 他に分類されていない操向  

・17/00 キャンバー,キャスターまたはトーイン調整用の装置  

・19/00 ラディアスロッド,すなわち間隔部材

下部構造;上部構造;車両の車体    

・21/00 下部構造

・23/00 上部構造とフレームとが結合されたもの

・24/00 車体と車両フレームとの結合

・25/00  上部構造の構成体  

・27/00 上部構造の構成体を結合するもの  

・29/00 それの材質に特徴のある上部構造  

・31/00 旅客輸送車の上部構造  

・33/00 貨物輸送用の上部構造  

・35/00 流線の形状に特徴のある車両の車体  

・37/00 制御された懸架装置を持たない車体の安定装置  

・39/00 車両の車体で他に分類されないもの  

・41/00 衝突の際に車両を同定するのに適合するもの  

・43/00 予備タイヤの収容具  

型によって類別される自動車または付随車;その部品または付属品で他に分類されていないもの  

・47/00 主として旅客輸送用自動車または付随車(上部構造

・49/00 トラクタ(歩行式のもの

・51/00 運転者用の座席のないことを特徴とするもの

・53/00 トラクタと付随車とが結合されたもの;路面車両

・55/00 無限軌道車

・57/00 車輪または軌道帯以外の他の推進装置

・59/00 駆動車輪または類似のものを持つ付随車

・61/00 車輪の配列または数に特徴のある自動車または付随車

・63/00 自動車または付随車で他に分類されないもの

・65/00 自動車またはトレーラーの設計,製造  

・67/00 回収可能な部品  

検知して感応する走行状態に関し,グループ6/00(ただし,グループ6/02〜6/10は除く)に関連したインデキシング系列  

・101/00 路上速度

・103/00 走行方向における加速または減速  

・105/00 牽引損失  

・107/00 温度  

・109/00 運転者または操作者の存在,不在または不活動状態

・111/00 車両の所期進路を乱す力,例.走行方向に対し横に作用する力  

・113/00 操向機構の動作位置,例.操向車輪またはハンドル  

・115/00 連結式車両の連結角度;牽引車両に対する牽引棒の角度  

・117/00 ハンドル角速度  

・119/00 ハンドルトルク

・121/00 操向リンクにかかる力  

・123/00 車両設備のための流体圧力供給  

・125/00 選択された特定のギヤ比  

・127/00 エンジン回転数  

・131/00 積載量,荷重に係る車両の高さを含む;車両振動減衰手段の状態

・133/00 平衡または傾斜,道路の勾配を含む  

・135/00 空気の湿気含有量

・137/00 グループB62D101/00〜B62D135/00において分類されない状態

 

 上記の101/00以下はインデキシング

系列となっていますが、以前に説明した

ように、ほかの分類に付随して付与される

ものなので、検索範囲を絞り込む場合には

使いますが、今回は検索式には入れる

必要はないでしょう。

(詳しい説明は以下を見てください)

 

oukajinsugawa.hatenadiary.jp

 

 また、自動車の三要素は、走る、止まる、

曲がるだと思いますが、「1/00操向制御

装置,すなわち,車両の方向変化を起こ

させる装置」というのはシカトして、B62Dの

「6/00 走行状態を検出した結果に応じて

自動的に操向装置を制御する装置」という

のをさらに詳しく見てみると以下のように

なっていました。

 

・6/00 走行状態を検出した結果に応じて自動的に操向装置を制御する装置  

・6/02 ・車両速度にのみ感応するもの  

・6/04 ・車両の所期進路を乱す力  

・6/06 ・車両の振動減衰装置にのみ感応するもの  

・6/08 ・入力トルクのみに感応するもの  

・6/10 ・・トルクの感知手段に特徴のあるもの

 

 ということなので、調べると6/00だけ

でも件数がかなり多いので、こちらの

ほうは6/00だけを採用してみましょう。

 

 次回に続く。