知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

すっくの傘

 子供用の傘で「すっくの傘」というの

がありますね。

 

 「すっくの傘って何だ??」という

ところですが。

 

 「すっく」というのはベネッセさんが

運営しているこどもチャレンジ通販

なわけでして。

 

 ベネッセコーポレーションのHP

は以下となりますが、昔の名前は

福武書店さんで、マックの原田さんが

昨年6月に社長兼会長に就任後、

お客様情報漏えいで何かと話題に

なっています。

 

http://www.benesse.co.jp/

 

 ということで、以前にホワイトローズ

さんの傘の話をしましたので、今回も

傘つながりの話を致しましょう。

 

 すっくの傘の通販サイトは以下と

なりますが、何を売りにしているか

というと、子供でも指をはさみにくい

安心傘というのを売りにしています。

 

http://shop.benesse.ne.jp/shimajiro/disp/CSfLastGenGoodsPage_011.jsp?MSK_NO=5170010840010010&

 

 なんで指を挟みにくいんだ?と

いうところですが、この技術内容が

特許登録されているんです。

 

 登録番号は3713505号という

ものなのですが、ちょっと内容を

見てみましょう。

 

 説明するのに、図があったほうが

説明しやすいので、登録公報から

抜粋貼り付けさせてもらいます。

 

 図3のほうは開いた状態で、図5の

ほうは閉じた状態です。

 

f:id:oukajinsugawa:20150216171605j:plain

 

 図3の右側にある部品図と、図5の

左側にある部品図は、ハジキという

部品で(ハジキと言っても拳銃の

ことではないので、念のため)、

ろくろっ首を固定する部品です。

(ろくろっ首が何かは以下を見て

ください)

 


ろくろっ首 - 知財アナリストのひとりごと

 

 ご存知のように、ハジキというのは

ろくろっ首のスライドと共に、シャフト

の中に引っ込んだり出っ張ったり

するわけで、発明の要点は、図3の

ほうの上はじきのほうの上側部分

(aとなっている平面です)に少し

傾斜をつけ、同じように図5の

下ハジキのeという部分も少し

傾斜をつけた点です。

 

 この角度を最良化することにより、

子供さんでも、力をあまり入れずに

ろくろっ首を上げ下げすることが

でき、さらに、指が金属で挟まれ

ないように、ろくろっ首にガードを

設けるとともに、閉じるときには

紐を引っ張れば閉じることが

できるようにした、というもの

です。

 

 この紐の先にはネームプレートを

つけるそうですよ。

 

 登録は以下のように中国、韓国、

台湾でもされており、「真似は

許さん!!」というところでしょうか。

 

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 この発明者は2人の女性の方で、

子供を身近に見ているので、男と

違って子供用に細やかな配慮が

されています。

 

 この傘は、特許で守るだけでなく、

意匠でも守られており、意匠登録

1206926号と1205315号となって

います。

 

 廉価商品というか消耗品というか、

一般消費者用商品の場合、知財戦略を

練るときには、特許や実用新案で守る

だけでなく、意匠を併用すると、

非常に効果的です。

 

 尚、特許化や意匠化はされて

いませんが、2003年の当初の

発売時には、前が見えるように

前が透明になっているのも画期

的だったそうです。

(権利化されていませんので、

前が透明な傘はいろいろ売り

出されていますよね)

 

 意匠のほうで、下図のように持ち手

にくぼみをつけて、左右どちらの手で

持っても透明部分が前に来るように

なっていますが。

(意匠登録第1205315号から抜粋

貼り付け)

 

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 ということで、特許のほうは2003年

8月の出願で、まだ特許権は満了して

いませんので、まだまだ「すっくの傘」

で、稼ぐのでしょう。

特許権はもう1社、

株式会社ブロンズ

さんとの共同の権利となっています

ので、製造はブロンズさんなので

しょう)