知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

ねじらない ねじります ねじる ねじるとき ねじれば ネジロウ

 小学校だか中学校だかで、動詞の

活用形っていうのを勉強したような

気がします。

 

 「ラ」の段では、ラ行変格活用などと

いうのもあって、最後の命令形では、

「おめー、捩じれよな」などと、語尾

が変化したような気がします。

 

 ということで、「さっぱり話がわかん

ねーじゃねーか。 何の話だよ??」と

言われそうなので、本日の話をして

行きましょう。

 

 1月の26日の月曜と27日の火曜日で、

グローバル知財戦略フォーラム2015と

いう講演会が、渋谷でありました。

 

 まー、私もいつもいつも酒ばっかり

飲んでいるだけじゃーダメだよね、と

いうことで、講演会の話を聞いてきた

わけです。

 

 お台場の国際会議場などでよくおこ

なわれているシーテックのようなものは

展示が中心ですが、「グローバル知財

フォーラム」は、完全な講演会のみでした。

(他に、IPDLの新バージョンJ-PlatPat

のデモというのもありましたが)

 

 どんな内容だったかというと、オープン

&クローズ戦略とか、中小企業の知財

活用、知財を生かした資金調達、海外

特許庁の講演、などなどでした。

弁理士をやっていると、弁理士会の

研修を受けなければならないという

ノルマがあるのですが、講演会に参加

すると、弁理士会の研修を受けた

ことになるというんで、一度の参加

で二度おいしいというのもありま

したが)

 

 ということで、講演会にお出でに

ならなかった方も多いでしょうから、

ちょっと見繕って、内容を書いてみま

しょう。

 

 1日目には、「グローバルベンチャー

おける知財資金調達」というパネルディス

カッションがあったのですが、金融機関と

して愛媛銀行が、シンクタンクとして、

三菱UFJリサーチ&コンサルティング

話がありました。

 

 知財を利用した資金調達は、以前にも

以下のように書いていますが、特許庁

しても資金調達に知財を活用するという

のに力を入れているようです。

 


下町ロケット銀行融資 - 知財アナリストのひとりごと

 

 地方に根付いている地方銀行さんも、

今までの金貸し業務だけでなく、中小

企業のコンサルにも力を入れている

そうで、この前書いたビジネスマッチ

ングなどもおこなっているそうです。

 

 融資判断の重視する比率としては、

経産省で国内金融機関におこなった

アンケートがあり、これによれば、

73%が財務関係、27%が非財務関係と

なっており、知財権があるほうが融資

はしやすいということでした。

 

 銀行でのビジネス評価書の中にも、

昨今、知財評価という項目も取り入れ

られてきており、過去から未来への

知財評価というものも重要視されて

来ていると言っていました。

 

 このパネルディスカッションでは、

二つの企業も登壇していたのですが。

一つは上場企業の日華化学株式

会社で、もうひとつはベンチャー

「NejiLaw」さんでした。

(やっと「ねじろう」が出てきましたね)

 

 まー、日華化学さんは上場企業です

ので、URLを見ていただくとして、ベン

チャーの「NejiLaw」さんについてちょっと

見てみましょう。

 

 「NejiLaw」さんって、知ってました?

 

 知らない人が多いのでは?

 

 この会社は、正式名称「株式会社

NejiLaw」さんで、設立2009年と若い

会社で、資本金2億円、業務内容は、

高機能・高性能型産業用締結部材

(早く言うと、「ねじ」ですね)等の

開発・製造・販売をおこなっている

会社です。

 

http://www.nejilaw.com/

 

 ホームページを見ると、いろいろ受賞

歴があり、都立産業技術センター内に

本社があるようです。

シンクタンクや銀行さんの話では、

このような受賞歴も融資に有利に働く

と言っていました)

 

 ここの売りは緩まないねじだそう

で、このブログの一番最初で分析した、

「ねじ分析」でも取り上げた「ハード

ロック工業」さんも緩まないねじを

特色としていましたので、どんどん

新しい技術が出て来るもんです。

 

 ということで、どんな特許を出して

いるのかなということで、ベンチャー

さんは会社名でヒットしないことも

あるので、社長さんの名前が、よく

ありそうな名前でもないので

(ありふれた名前ではないという意味

です)、発明者を「道脇裕」さんと

IPDLに入れてみると、出てきましたね。

 

 出願公開は、93件、登録は19件

でした。

 

 この中で基本特許はどれかいな、

ちゅうちゅうたこかいな!と見て

みると、特許4663813「両ねじ体

及び雌ねじ体」というのがそれ

ですね。

 

 どのようにして緩まないようにして

いるかというと、普通、ボルトは右ねじか

左ねじのどちらかですが、一つのボルト

に右ねじと左ねじとの両ねじ体を作製し、

右ねじ用と左ねじ用の2つのナットの

ダブル・ナット方式で締め付けることに

より、緩み止め効果を発揮させている

んですね。

(下図は、特許4663813から抜粋貼付け)

f:id:oukajinsugawa:20150127162517j:plain

 

 パネルディスカッションでは、最初に

作ったものがどのようにしても外れず、

のこぎりでカットしてはずした、と言って

いましたが、現在は、通常では外れ

ないが、工具によって外すことができる

ものを開発したと言っていました。

 

「NejiLaw」さんはまだできたばかりの

ベンチャーのため、大量生産とか、

いろいろ解決すべき手段が多そう

ですが、是非、日の丸メーカーとして

頑張って欲しいものです。

 

 講演会ではそのほかにも、WIPOから、

この前書いた「グローバルブランドDB」

や、INPITの「開放特許情報DB」、中小

企業支援カタログなどいろいろありまし

たので、そのうち回を改めて、詳細を

書いてみましょう。

 


Global Brand Database - 知財アナリストのひとりごと

 


知財戦略上級編 アロマレフレールと開放特許情報データベース - 知財アナリストのひとりごと