知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

ウエアラブルドライバー眠気感知センサー 

 ウエアラブルEXPOというのが1月

13日から15日にかけておこなわれて

いました。

 

http://www.wearable-expo.jp/

 

 テレビや新聞でも取り上げられて

いましたね。

 

 私は時間がなかったので行きません

でしたが、ウエアラブルEXPOのホーム

ページでの予測によると、ウエアラブル

機器市場は2014年が5,166億円のところ、

2018年には、1兆2,642億円にもなる

そうで、グラフではものすごい立ち

上がりカーブになっています。

 

 出展企業一覧を見てもそうそうたる

企業が名を連ねていて、医療分野への

参入企業では異業種参入が話題に

なっていますが、ウエアラブルのほうは、

やっぱり弱電メーカーさんが多いようです。

 

 このEXPOで発表されていたのか

どうかわかりませんが、富士通が、

居眠り運転防止センサーを2月に

発売するという記事が新聞に出て

いました。

 

 1個3万8千円前後ということ

ですが、安いんでしょうか、はたまた

高いんでしょうか。

 

 この技術は2013年のCEATEC

JAPANなどですでに発表されており、

その当時は2~3年後をめどに実用化

すると言っていましたが、実用化に

つながったようです。

 

 新聞記事によると、耳たぶにクリップ状の

センサーをつけて、脈拍の大きさやリズム

などから眠気を推定し、眠気を検知すると

音声や振動で本人に通知するんだそうです。

 

 車載機器との連携で、トラックやバスの

運行管理者にも通知する仕組みも可能な

ようですので、「疲れているようだから少し

休め」などという運行指令を出してくれれば

よいのですが、「眠くても頑張れ」などと

叱咤激励をされてはかないませんね。

 

 昔の記事を見てみると、富士通さんの

開発は2005年に始まったそうで、事業化

までに10年かかったんですね。

(10年も製品が出ないと切り捨てられる

研究テーマは後を絶ちませんが、よく切り

捨てられなかったものです)

 

 眠くなるというのは自律神経が大きく

影響しており、交感神経と副交感神経の

バランスの変化を心拍の動きで検知

できるそうで、交感神経優位のために

活発に揺れていた心拍リズムが、眠気を

感じる副交感神経優位の心拍一定リズムに

収束されていくのを検知するんだそうです。

 

 富士通さんの発表資料によると、車の

ハンドルやシートに電極を埋め込んで、

同じ仕組みで眠気を感知し、シートベルトを

引っ張ったり匂いを出したり(ペパーミントの

香り等と書いてありますが、「くさや」の

強烈なにおいのほうが目を覚ますのでは??

逆に驚いて交通事故につながるかもしれま

せんが)、カーナビに連動させてサービス

エリアに誘導するなどいろいろ考えて

いるそうです。

 

(このウエアラブルセンサーを応用して、

旦那さんの嘘を見破るセンサーなども

開発できるのでは??

・・・奥様のカンは鋭いので、必要ないかも

しれませんが)

 

 ということで、どんな特許出願がされて

いるのか調べてみましょう。

 

 まずは、富士通さんがどんな企業かと

いうと、別に書かなくても皆さんご存知

ですが、むかーし昔のその昔(といっても

1923年ですが)、古河電工さんとドイツの

ジーメンスさんが富士電機さんを作り、

1935年に富士電機さんの電話、通信

事業を切り離して富士通さんができた

わけでして。

 

 HPは以下になり、正式名称富士通

株式会社、証券コードが6702、2014年

3月期の連結売上4兆7,624億円、

連結従業員数が162,393名という

大企業です。

(私の知っている方が、お一人お辞めに

なりましたので、2015年3月期では、従業

員数が確実に一人減っているでしょう??)

 

http://www.fujitsu.com/jp/

 

 特許出願のほうは、面倒なのが嫌いな

王花陣なので、「えいやー」と、出願人は

富士通さん」、要約・請求の範囲が「眠気」

というめちゃくちゃ荒っぽい方法で論理積

取ってみると、「えっへっへ~~、しめしめ」

ということで、一発で、眠気判定方法などが

出てきました。

 

f:id:oukajinsugawa:20150117123831j:plain

 

 今回の眠気センサーは2番目の

特開2014-012042の応用のようで、

要約によると、「眠気スケールに基づき

被験者の眠気を判定する」となっていま

した。

 

 それでは、これまでにどのような

研究がされているのか見てみましょう。

(「いいかげん検索」ですので(こんな

検索名称はありませんが)、詳細分析

ではありませんので念のため)

 

 眠気検知システムが多いですが、

下から2番目の「運行支援装置、運行

支援方法、運行支援プログラム」では、

「覚醒度に基づいて安全運転を運転者に

促すようなルート検索(運行計画)を行う

運行支援装置、運行支援方法、運行支援

プログラムを提供」しますし、

 

 一番上の「電子機器」では、「加湿や

保湿機能、眠気防止機能、温風取り

出し機能、風向き変更機能などの部材を

別途用意しておいて、用途に応じてパソコン

などから殺虫剤や芳香剤を放出できる

電子機器を提供できるようにするんだ

そうです。

(電子機器の例としてキーボードの図が

載っています)

 

 眠気センサーが、どの程度売れるか

わかりませんが、私は運転時にはガム

でも噛みながら、富士通さんの売れ行きを

注視していきましょう。

 

 

 

2016年6月9日追記:

特許庁から、「平成27年度特許出願技術動向

調査報告書 ウェアラブルコンピュータ」と

いうのが出ていますので、興味のある方は、

どうぞ。

 

http://www.jpo.go.jp/shiryou/pdf/gidou-houkoku/h27/27_16.pdf