知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

ダリヤ

 最近男女を問わず髪の毛を染めるのが

はやっていますね。

 

 髪の毛を染めるのもいろいろな種類が

あるようですが、この前テレビで、ヘア

カラーのダリヤという会社を紹介して

いました。

 

 正式名称は「株式会社ダリヤ」だそうで、

本社が名古屋にあり設立1950年、資本金

5400万円、従業員290名という会社だ

そうです。

 

http://www.dariyacosme.com/

 

 関連会社を調べると、聞いたことの

ある、日本メナード化粧品株式会社があり、

代表者は同じかたで、こちらのほうの

資本金は7422万円、売り上げ約530億円、

社員数1080名と、名前が知られているだけ

あって、こちらのほうが大きい会社でした。

 

http://corp.menard.co.jp/information/outline.html

 

 ただし、メナードさんの設立は1959年と

なっていたので、ダリヤさんのほうが、

ご本家?のようです。

 

 ダリヤさんがどんなことをやっているのかと

いうと、化粧品/医薬部外品の製造販売事業

だそうで、HPではヘアカラーのコマーシャルが

載っていますね。

 

 TVCMにも積極的なようで、今まで、加藤

清史郎、KARA、麻生祐未杉本彩AMIAYA

名取裕子益若つばささんなど、そうそうたる

メンバーを起用しているようです。

 

 なんでこのメーカーさんがテレビで取り上げ

られていたかというと、新聞社特集で、

エアゾール産業新聞というところが取り

あげられていたいたからです。

 

 下はいろんな新聞を取り上げている「新聞

ガイド」というURLで、ここに「エアゾール

産業新聞」というURLもあります。

 

http://shinbun.biz/specialty/science.html

 

 見てみると、いろんな新聞があるんですね。

 

 話をもとに戻して、なぜエアゾール新聞と

ヘアカラーが関係するんだということですが、

エアゾール新聞が今年一押しの製品として、

ダリヤさんの「デュアル缶」というのを押して

いたからです。

 

 これは、どんなものなのかというと、一つの

ヘアカラースプレー(チューブ?)をワンプッシュ

すると2種類の溶剤が同じ量出てきて、

それを櫛に塗るだけで、そのまま髪の染色が

できるというものでした。

 

 通常は、2種類の染色溶剤は2つのチューブに

別々に入っており、これをそれぞれ押し出して、

へらのようなもので混ぜた後に髪に塗る必要が

あるのだそうです。

(すいません、やったことがないので、テレビの

受け売りです)

 

 これは一つの缶(チューブ?)の中に2種類の

パウチが入っており、押すと均等に圧力が

かかるので、両方のパウチから均等に溶剤が

出て来るんだそうです。

 

 歯磨きチューブにも同じようなものが、ある

ような気がしますが?

 

 ということで、ダリヤさんはどんな特許出願を

しているのか見てみると、なぜか2010年から

出願数が急上昇していますね。

 

 何か期するものがあったのでしょうか。

 

 しかし、ダリヤさんの出願を見てみると、

2重構造の容器という出願はないようです。

 

 実はIPCの中に、「内容物を押し出す際に

永久的に変形する柔軟な管状容器、例:

練歯磨きまたは他の可塑性もしくは準液状

物質用の押潰可能なチューブ:B65D35/00

というのがあり、この下位分類の35/22と

いうのが「2以上の区画室のあるもの」と

なっています。

 

 この分類で検索してみると、125件もヒット

してきて、この分野はいろいろな企業が

出願をしているのがわかります。

 

 日本で登録されているものを見ると、

62件登録されており、花王さんの、登録

特許3077135というものがあって、出願が

1996年1月でした。

 

 内容は、そのものずばりの「染毛剤等の

二剤形式の化粧品を使用時に同時に吐出させ、

二剤形式の化粧品の使用上の利便性を向上

させる」というものでした。

 

 これは、被引用回数14回といーい仕事を

していたのですが、昨年6月で権利が切れて

いました。

 

 特許法の目的は、産業の発達に寄与する

ことが目的であり、この目的を達成するために、

発明を保護したり、権利が消滅したあとの

自由実施ができるようにしたりしているわけ

ですが、まさに、ダリヤさんによって、この、

権利消滅後の自由実施がされているわけですね。

(権利消滅後の実施ではジェネリック医薬品

有名ですね)

 

 まあ、そのほかにも関連した登録が

ありますので、ダリヤさんが他の権利に抵触して

いないのかはよくわかりませんが、関連する

権利を良く調べておいて、権利が切れたら実施

できるようにしておくというのも知財戦略の

ひとつでしょう。

 

 今後は、この技術がいろいろな分野に

応用されるかもしれません。