知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

大幸さん、早く発売してちょーだい!!

 デング熱、大変なことになっていますね。

 

 今年が大丈夫でも、産んだ卵は来年

どうなるんでしょう。

 

 生んだ卵は大丈夫なんでしょうか?

 

 どんどん広がって行ったら毎年毎年大変な

ことになりそうな感じがするのですが。

 

 デング熱に対しては全く知らないので、心配

だけするほかありません。

 

 ということで、大幸薬品さんが「除菌・消臭

スプレーの成分として使われている液体に、

蚊に刺されなくなる効果があることを発見し、

特許を取得した」との記事が出ていました。

 

 デング熱などのウイルスを媒介する蚊よけの

スプレーとして、商品化を検討するんだそうです。

 

 なんかドンピシャでしたね。

 

 記事では、液体として「二酸化塩素ガス

溶存液」すなわち、水道水の除菌にも使用

される液体をスプレーなどに応用するという

ことですが、08年5月に特許を出願し、

今年8月までに特許を取得したそうです。

 

 商品化には、医薬部外品としての製造

販売承認を得る必要があるとのことで、

発売時期は未定だそうです。

 

 なんとか早く発売してもらわないと、今回の

デング熱対策にはなりそうもありません。

 

 それでは、大幸薬品さんでの、この出願に

ついて調べてみましょう。

 

  得意のIPDLに、「大幸薬品」さんと、「蚊」

と打ち込むと、1件だけ出てきました。

 

 まだ登録公報は出てないんだろうなと思い、

試しに打ち込んでみましたら、「何ということで

しょう」(テレビのビフォー・アフターの口真似です)、

すでに出ていました。

 

 PCT出願なんですね。(海外出願です)

 

 優先権主張もされており、先の出願は、2008年

5月でした。

 

 興味のある方のために、特許番号を書いて

おくと、特許5582405号です。(実質ページ数

6枚ですし、読みやすい文書ですので是非見て

みてください)

 

 まあ、そうは言っても読むのが面倒でしょうから、

私のほうで内容を書いてみたいと思います。

 

 まずは請求項の1ですが、二酸化塩素を有効

成分とする蚊(請求項ではもっと広い権利に

なっていますが)などの忌避剤となっています。

 

 請求項2では、上記の動物に噛まれなくする

製剤だそうです。

 

 請求項3は感染予防剤だそうです。

 

 請求項4ではこれ以前の請求項での動物

媒介はマラリアであることを特徴とするとなって

います。

 

 請求項の読み方を説明する必要があるの

ですが、最初のほうの請求項には、広い範囲を

書いておいて、段々、範囲を限定していきます。

 

 ということで、マラリアと書いてありますが、

それより前の請求項で、もっと広い権利を

請求していますので「デング熱」なども含まれる

ことになります。

(この辺の判断は非常に難しく、訴訟にならないと

判断できない場合がありますが)

 

 マラリアデング熱については、以下の厚生

労働省のパンフレットにも載っています。

 

http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/gw01/dl/04.pdf#search='%E3%83%87%E3%83%B3%E3%82%B0%E7%86%B1+%E3%83%9E%E3%83%A9%E3%83%AA%E3%82%A2'

 

 ということで、最初の出願が2008年でした

ので、その当時は「デング熱」などまったく

話題にもなっていなかったので、具体的に

デング熱」とは書いてありません。

 

 「デング熱」と書いてあったら、さらに「ドン

ピシャ」でしたね。(デング熱には権利が及ば

ない、という意味ではありません)

 

 大幸薬品さんは正露丸だけ研究開発している

のかと思ったら、ひそかに?こんなことも研究

していたんですね。

 

 ということで、ひそかに研究していたのかどうか

大幸薬品さんの特許出願を検索してみると、

塩素イオン(二酸化塩素ガスは強力な酸化剤

で滅菌効果があるのでプールなどに使用されて

います)についての出願は1999年からあり、

2005年頃から二酸化塩素に関する出願が

非常に多くなっていました。

 

 ひそかに研究開発をおこなっていたんでは

ないんですね。

 

 ただし、何かに応用をするという出願ではなく、

二酸化塩素の製造方法や、どのように保存するか

とかの出願でした。

 

 大幸薬品さんは、早くから二酸化塩素を何かに

使えるんではないかということで、使い道をいろいろ

研究していたようです。

 

 ということで、見つけたんですね。 使い道を。

 

 これを用途発明と言います。

 

 どういうことかというと、既知の物質で

あっても(新規の物質でもよいですが)、

その物の特定の性質を発見し、この性質を

特定目的達成のために利用する発明のことを

「用途発明」といって、登録できることがある

んです。

 

 この用途発明は、化学物質や、バイオ関係に

ついて、結構多いです。

 

 それではどの程度の効果があるんでしょう。

 

 これは、試験結果が記載されています。

 

 この液剤を使った場合と使わない場合の

試験結果が比較されているのですが、液剤

を使わないと、ある一定下で47.7%が蚊に

刺されたそうです(実験には、人間ではなく

マウスが使われています。 人間を使ったら

危なさそ~~~~)

 

 この液剤を使うと、刺される確率が5.9%

に下がったそうです。

 

 100%じゃないんですね。

 

 まあ、100%でないのは残念ですが、それは

ともかく、かなり確率が下がるので、効果は

抜群ですね。

 

 ただし、私のようにしょっちゅう酒臭くしている??

人間には、あまり効果がないような気がしますが・・・・・。

 

 うーん、残念。(私にとってはですが)