知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

パテントマップ特許情報分析予告編 その2  れりごー、れりごー

 前回はゴルフの歴史を調べてみましたが、

今回は用具の歴史を調べてみましょう。

 

 今回調べるのは、前回使用した書籍と、

RULES OF GOLF As Approved by The Royal

and Ancient Golf Club of St.Andrews(セント

アンドリュースの正式名称です) and the

United States Golf Association(Royal Insurance)

というゴルフ規則集です。

 

 まず、ボールの現在の規格ですが、ゴルフ

ルール集のAPPENDIX IIIに書かれており、

重さが1.620オンス(45.93グラム)以下で

なければならないと書かれています。

 

 次にサイズのほうですが、直径は1.680インチ

(42.67mm)以上でなければならないんですね。

 

 重さと直径の測定の仕方も規定されており、

23±1℃の状態で、100個中25個以上のランダム

抜き取りをおこなって、たとえば直径のほうは、

直径ゲージを使用するなどと書かれています。

 

 このほかにも真球でなければならないとか、

初速とか、飛距離などが規定されており、

それぞれに細かい測定方法が規定されて

います。

 

 プロ野球のようにホームランの出やすい

ものってないのでしょうか?

 

 飛距離などは、承認された機械で打ち出して

測定しなければなりませんので、結構めんどい

ですね。

 

 ここで、初速と、飛距離が決められてしまって

いますので、飛ぶボールというのはどのような

ものなのでしょうかね。

 

 ボール屋さんでないのでよくわかりませんが、

ボールとクラブ、ヘッドスピードの相性というのが

結構重要そうですね。

 

 このへんは特許分析のときに調べられたら

調べてみましょう。

 

 尚、初速は250フィート(76.2m)以下でなければ

ならないし(許容差マックス2%)、平均飛距離が

キャリーとランを含めて平均280ヤード(256m)

以下であって、さらに許容差6%となっています。

(参考にしたルール集は古いので、直近のルール集を

見たわけではありませんが、現在は317ヤード

以下(許容差3ヤード)に変更されているようです)

 

 したがって、許容差マックスまで引き上げると

いうのもテクニックなのかもしれません。

 

 このへん、初速と初期打ち出し角度をうまく

調節できれば同じボールでも違いが大きく

出るのでしょう。

 

 話は違いますが、ゴルフはあるがままに打た

なければならないとよく言われますが、規則集

ではどこにどんなふうに書かれているのでしょう。

 

 これは、SECTION III - THE RULES OF PLAY

のTHE GAME Rule1. The Game 1-2という

ところに規定されていますのでちょっと見て

みましょう。

 

 ここには、「プレイヤーもキャディーも、ボール

ポジションに影響を与える行為をしてはならない」

と記載されています。

 

 この記載は、1-1の、「プレーはティーグラウンド

から始まってホールまでのストロークで終わる」と

いう規則の次、つまりルールの2番目に書かれて

いますので、大変重要な規則なんですね。

 

 尚、コースに影響がある場合など例外が認められて

いますので、コースによっていろいろな例外規定が

ありますよね。

 

 ということで、現在の規則がわかりましたので、

ボールの歴史を見てみましょう。

 

 1400年代のボール屋さんはオランダがメイン

だったそうで、スコットランドでは、はるばる北海を

隔てて輸入していました。

 

 オランダのゲームでは、空気力学的特性が無視

できるニレやブナでできた木製ボールが使用されて

いました。

 

 そうこうするうちに、オランダでは木製ボールに

変わって、ハンドテニスで使われていた白革に

牛の毛をつめたボールが徐々に使われていった

そうで、そのうちスコットランドでも17世紀から

18世紀にかけて羽毛を詰めたボールが発明

されました。(フェザリーボールと呼ばれます)

 

 これは、外側の革のほうはミョウバンに浸した

雄牛の革を使用し、この中に、ガチョウの羽を

ボイルして柔らかくしたものを詰めていました。

 

 この後にたたいて丸くして、最後に耐久性と

視認性をよくするために、白いペンキを塗って

いました。

 

 これを乾かすと、羽毛は膨らみ、逆に、革の

ほうは縮みますので、引き締まった硬いボールに

なったそうです。

 

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 上の写真はフェザリーボールです。

出典:COLLINS ILLUSTRATED ENCYCLOPEDIA of GOLF

 

 その当時はボールの大きさや重さの規定は

なかったそうですが、大体直径は今と同じ

ぐらいで(その後直径をいくらにするかの

論争が引き起こりますが)、重さも1.62

オンス程度でした。

 

 今の規格というのは、その当時のものから来て

いるんですね。

 

 これらのボールの利点として、木製ボールの

飛距離はせいぜい100ヤードでしたが、2倍程度

の飛距離が出ることでした。

 

 当時の記録が残っていて、サミュエルさんという

スイスの学校の先生が、セントアンドリュースで、

1836年に361ヤード飛ばしたとなっています。

 

 まあ、気候コンディションが良かったようで、

グラウンドは凍るような硬さで、追い風が吹いて

いたんだそうです。 

 

 さらには、皮革を縫い合わせる必要があり、

これが現代のディンプルのような役目になって、

木製ボールよりも飛ぶ原因となっていました。

 

 しかし、利点だけではなく難点もあって、普通の

人にとっては価格が高いということでした。

 

 当時、木製ボールに比べ12倍もの値段だった

そうで、驚くことに、このボールの値段はクラブの

値段と同じ程度に高かったのだそうです。

 

 こんなに高かったらロストになったら泣くに泣け

ないですね。

 

 なぜ高かったのかというと、まあ原料も高かった

のでしょうが、作り方が難しく、スキルのある職人

さんでも1日4個作るのがせいぜいでした。

 

 さらには、割れてしまったり、水を含んでしまったり

で、コースを回るのにボールが何個も必要でした。

 

 貧乏人は麦を食え! 貧乏人は木製ボールを

使え!  ・・・ちょっと違うような?