知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

下町ロケット銀行融資

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 この前、池井戸潤さんの小説「下町ロケット」を

取り上げ、小説に書かれている特許関係の話を

しました。

 

半沢直樹の感想文? - 知財アナリストのひとりごと

 

 この中で、特許を持っていることにより融資を

受けるというのはなかなか困難なことを書きまし

たが、7月1日の千葉日報に、「特許による融資」

の記事が出ていました。

 

http://www.chibanippo.co.jp/news/economics/201274

 

 詳細は読んでいただくとして、概要を書くと、

千葉銀行が「ちばぎん知財活用融資」というものを

立ち上げて、その第1号としてリサイクル機器・

販売の三立機械工業さんに1千万円の融資を

したそうです。

 

ちばぎん知財活用融資

http://www.chibabank.co.jp/news/hojin/2014/0507_01/

 

三立機械工業株式会社

http://www.sanritsu-machine.com/index.html

 

 千葉銀さんは5月に不動産担保によらない

資金需要を掘り起こそうと、同融資を立ち上げた

そうで、民間会社の作成した調査レポートや、

企業への聞き取り調査も踏まえて融資を判断

したそうです。

 

 記事にも書かれているように、知財融資を導入

している地銀はめずらしく、まだ緒についたばかり

といえるでしょう。

 

 このような制度はどんどん根付いていってほしい

ものですが、ネックになるのは民間会社での

調査費用となると思われ、どの程度の値段で調査

がおこなわれたのでしょうね。

 

(ちなみに、知的財産価値評価推進センターと

いうところがあるのですが、ここが、平成25年度

に「知財価値評価のニーズ調査アンケート」と

いうのを実施しています。

 

 このアンケートは、出願件数等に鑑み、日本

の企業(日本法人を有する外国企業も含む)、

3000社程度にアンケートを発送し有効回答

756件というものでした。

 

 これによると知財価値評価に対する潜在的

ニーズは高く、特許であれば、1件分の特許権

に対する評価費用は、全体平均で40万円程度

が期待されているそうです。

 

 この金額は多いと見るのか少ないと見るのかは

よくわかりませんが・・・・)

 

 それでは、お約束の三立機械工業さんの特許

出願情報ですが、冒頭に添付したように、7件の

特許出願があり、そのうちの4件が登録されています。

 

 皆様、気づいたと思われますが、一番上の出願は

出願公開から間もないのにもう登録されています。

 

 これは、IPDLの出願経過情報で調べると、

早期審査がおこなわれていました。

 

 記事によると、同社の細かく砕いた配電線から

効率的に銅を回収する技術が判断材料のひとつ

となったと書かれています。

 

 この登録特許の内容は以下となりますので、この

特許が決め手になったのですね。

 

 融資のために急いで審査してもらったのか、重要

なので早期審査にしたのか定かでありませんが、

まあ両方なのかもしれません。

 

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 この知財融資が根付くか根付かないかは、

最初のほうの企業がうまくいくかいかないかが

重要でしょうから、三立機械工業さん、是非

頑張ってください。