知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

ウエットティッシュかティッシューか?

 河野製紙株式会社をご存知でしょうか。

 

 紙製品の企業に勤めている方か、よほどの

通?でなければ知らないのではないかと

思います。

 

 会社名の読み方は「こうの」ではなく「かわの

せいし」と読みます。

 

 この前のテレビ「news every」でこの会社が

取り上げられていました。

 

 なぜこの会社が取り上げられていたかというと、

最初にウエットテッィシュを開発した会社だから

なんだそうです。

 

 (日本語にする場合、ティッシュなのかティッシュー

なのか、謎ですね)

 

 河野製紙さんのホームページは以下となりますが、

本社は高知県にあり、明治25年創業の由緒ある?

会社のようです。

 

http://www.kawano-p.co.jp/

 

 ウエットティッシュは最初1993年に売り出し

たんだそうで、随分昔からあったんですね。

 

 沿革を見ると、

 

平成3年12月 保湿ペーパー技術の特許出願

平成5年1月 日本初の保湿ペーパーを発売

平成7年9月 米国での保湿ペーパー技術の

          特許登録

平成11年10月 日本における保湿ペーパーの

           特許登録

  などなど

 

が書かれています。

 

 ということで、お約束の特許出願内容を調べて

みましょう。(誰も約束なんかしてないぞー、

という声が聞こえてきそうですが、そこは

まあ、置いておいて)

 

 まず、IPDLで「河野製紙株式会社」さんを出願人、

対象は「公開公報」で調べてみると、18件ヒット

しました。

 

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 この一番下の「特開平05-156596」を覗いて

みると、出願日が平成3年(1991)12月3日と

なっていました。

 

 これですね。  基本特許は。

 

 その後、これに基づいて平成5年(1993年)

にウエットティッシュをめでたく売り出したようです。

 

 以下は、その内容ですが、テレビでは、「ティッシュ

を舐めてみてください」と言われて、テレビ局の

人が舐めてみると「甘い!!」と言っており、

グリセリンが保湿効果を高めているんですよ」と

説明していました。

 

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 そのへんのところが、上記の要約の【構成】

というところに記載されており、「多価アルコール

及び糖類の~」が、保水性を持たせているのだ

そうです。

 

 めでたくこの特許出願は登録されたのですが、

詳細は書きませんが、登録までには、拒絶理由が

通知されたり、その後拒絶査定になったり、また

またその後に、拒絶査定不服審判をおこなったり、

他のところから「異議あり!!」などと言われて

しまったり、登録までには、涙なくして??は

読めないような努力があったようです。

 

 このへんの内容の調べ方は、「マーメイド」で

書いていますので、興味のある方は調べて

みてください。

 

 ということで、出願日が平成3年(1991)

12月3日でしたので、河野製紙さんは、この

虎の子?の基本特許を最後までお金を払い、

出願から20年で無事登録満了となっています。

 

 ところで、IPDLでは被引用回数を調べるのは

難しいのですが、私のほうで、商用のDBで

この特許の被引用回数を調べてみたいと

思います。

 

 被引用というのは、他の特許出願の審査に

おいて、この特許(出願)が引用されて拒絶

理由となることをいいます。(ちょっと説明の

しかたが乱暴で、すみません)

 

 したがって、被引用回数が多いというのは、

基本特許又は強い特許といってもいいでしょう。

 

 ということで調べると、特開平05-156596の

登録特許は、被引用回数40回と、非常に

大きな役目を果たして、登録満了となって

いました。

 

 ぴんと来ない方もおいでではないかと思い

ますが、10回以上引用されたら結構重要な

特許です。

 

(それは違う!!という方もおいでとは思い

ますが、まあ40回だったら誰もが文句?は

言わないのでは)

 

 さらに、特開平10-226986は31回で、

そのほかにも10回以上が3件もありました。

 

 脇も固めたのではないかと?

 

 河野製紙さん、いーい仕事してますね。

 

 どこかで聞いたようなセリフですが。