知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

知財戦略中級編  飛んで火に入る・・・・

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 最後のご要件です。

 

 公序良俗に反する発明はダメとなっています。

 

 法律では、「公の秩序、善良の風俗又は公衆の

衛生を害するおそれがある発明」となっていて、

これをひっくるめて公序良俗と言っています。

 

 この内容は、32条というところに書かれており、

不特許事由とも呼ばれます。

 

 現在は、この公序良俗だけなのですが、

むかーし、むかしは、このほかにも、

 

・飲食物や嗜好物

・医薬など

・化学物質

原子核変換物質

 

というのがありました。(かなり端折って書いて

います)

 

 特許法というのは、産業の発達を目的として

作られていますので、その時代、時代にあった

法律となっています。

 

 したがって、その昔、あるものを特許にして

しまうと、自国の技術水準からして、他国に

権利化されてしまい、自国の技術が萎んで

しまうなどと考えられた場合には、それは

不特許事由とされていました。

 

 日本も技術水準が上がってきましたので、

現在では、上記の項目は撤廃されています。

 

 それでは、公序良俗に戻って、なぜこのような

ものがあるかというと、ほかの法律で問題と

なるようなものを、特許にするのはまずいんで

ないかい?という理由からです。

 

 紙幣の偽造や、密輸、麻薬など(これらは

あくまで例であって、もっとあるわけですが)、

犯罪になってしまうようなものを、特許庁

積極的に「とうろーく!!」などといっていたら、

いかにも特許庁が犯罪に加担しているような

印象を持たれてしまいますよね。

 

それでは、著作権法では、このへんどうなって

いるのでしょう? 著作権でも調べてみましょう。

 

 不道徳または違法な内容のものを作ったら

著作物となるんでしょうか?

 

 そーなんです。

 

 著作権法では、取り扱いが違っていて、

著作物には成り得ます。

 

 いつもブログで言っているように、感情を

爆発させて作ったものは著作物となってしまう

んです!!

 

 しかーし、刑法上は取り締まりの対象になります

ので、「わたしの著作権を侵害しましたので、取り

締まってもらえませんか」などと訴え出ようものなら、

「飛んで火にいる夏の虫」になってしまいますので、

くれぐれも訴え出ないようにしましょう。 

 

 このへんは、産業の発達と、文化の発展という

アプローチの違いにより、取り扱いが異なって

います。

 

 ということで、最後の最後の要件です。

 

 これは、明細書等の記載ですが、このように

書きなさいというのに従わないと、「きちんと

書けよなー」と怒られてしまい、登録できなく

なってしまいます。

 

 この拒絶理由というのも、進歩性違反と

双璧を成すのではないでしょうか。

 

 明細書をきちんと書かないといけないのは、

技術を社会に公開する代わりに登録させて

あげましょう、という理由によります。

 

 したがって、技術を公開するのはいやだな、

と思う場合には、あくまで秘密にしておいて、

出願はしない、という戦略を採ることになります。

 

 秘密主義として、コカ・コーラ製法など有名

ですね。