知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

知財戦略中級編  Grace Period?

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  今回は、「新規性喪失の例外」というものです。

 

 (英語では、grace periodと呼ばれます)

 

 新規性がなくなったら、特許化できなくなるわけ

ですが、小保方おぼちゃんとか中山教授とかは、

一刻も早く論文発表をしたいだろうし、特許法を

よく知らなくて発表してしまったりして、特許化

できないのは酷だよねーというので、できた

制度です。

 

(小保方おぼちゃんや中山教授が生まれる前

からあった制度ですが)

 

 というのが、ちょっと前までの法律の説明でした。

 

 したがって、少し前までは、論文発表などの

限られた場合しかお許しがでませんでした。

 

 ところが、つい最近法律が変わって(平成23

です)、結構、この救済規定を受けることができる

人が拡大しました。

 

(平成23年が、つい最近か?という意見もおあり

かと思いますが、そこは目をつぶってください)

 

 ちょっと前までは、テレビでの発表や販売して

しまった場合などはアウチでした。

 

 しかし、以前においては、インターネットでの

発表はOKだったため、これちょっとおかしくね?と

いうことになり、現在は、製品販売やテレビ発表

などもOKとなっています。

 

 このように時代の発達とともに、法律と

現状との不均衡というのが生じてくることが

ありますので、その場合には、法律が変更

されるということが起きてきます。

 

 よかったですね。 特許出願前に製品販売が

できるようになって。

 

 と思ったら、おーおまーちがーい!!

 

 間違ってはいけないのは、これは日本の

救済規定であって、あくまで例外規定ですし、

各国救済規定が違います。

 

 上図の右側に各国の規定が簡単に書かれて

いますが、ヨーロッパや、中国など、救済される

のはほんの一部です。

 

 ましてや、日本での学会論文発表などなど

海外ではほとんど救済されません。

 

 ちょっと前までは日本での出願だけを考えて

おればよかったでのすが、現在はワールドワイド

での市場を考えなければならず、以前に説明

したように、皆さん、海外出願が増えていますので、

海外での権利化が不可能となってしまいます。

 

 言い換えれば、日本へは救済規定で出願できるが、

海外出願はNGということとなりますので、

とにかく、新規性喪失前には特許出願をする

というのを徹底する必要があるでしょう。