知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

マイクロニードルアレイ??

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 皆様、株式会社メドレックスという

 企業をご存知でしょうか。

  

 以前に、日東電工さんを取り上げ、

 マイクロポレーションという薬剤吸収

 技術を書きました。

   

マイクロポレーション? - 知財アナリストのひとりごと

  

 こちらのメドレックスという会社は、

 香川県に本社があり、2002年設立と

 いう若い会社です。

  

http://www.medrx.co.jp/

 

 どのような事業をおこなっているかと

 いうと、製剤技術を基軸とした医療品を

 開発する従業員26名というベンチャー

 企業です。

  

 327日の日刊工業新聞では、この

 企業の、ワクチンなど液剤を投与する

 方法として、マイクロニードルアレイが

 特許査定を受けたとの記事が載って

 いました。

  

 この登録特許は、登録番号が5439633で、

 出願が2013424日、登録日は

 1220日、公報発行日は2014

 312日、発明の名称は「マイクロ

 ニードルおよびマイクロニードルアレイ」

 というものでした。

 

  随分早く登録されたもんだねとお気

 づきの方が多いと思いますが、「何とか

 早く審査をお願いできませんでしょうか?」

 と特許庁にお願いしたところ、「よーし、

 わかった。一肌脱ごうじゃないか」という

 ことで、早期審査というものをおこなった

 ためでした。

 

 (早期審査は、どんなものでもしてもらえる

 わけではなく、一定の要件が必要です)

 

 ここの載っている図を貼り付けたのが

 上図です。

 

 どんな特許かというと、液剤投与方式と

 して、微小な針の集合体を皮膚に貼り

 付けることにより、この針に塗布した

 薬剤を皮膚に吸収させるというものです。

  

 今までは注射をしなければならない

 ものも、お医者様のところに行かずに

 自宅で投与できるようになるというので、

 我々としてはおおいに期待してよいでしょう。

  

 メドレックスさんでは、帝人さんと仲が

 よいようで、共同で研究に取り組み、2020

 ごろの製品化を目指すのだそうです。

 

 上図は、部分的な写真となっていますが、

 実際は生け花の剣山のような形をしており、

 剣山を貼り付けるわけにいかないので、

剣山のようなものを微小化しています。

 

 上図の針の長さは500μm0.5㎜)以下

 であるのがわかる写真になっています。

  

 メドレックスさんの特許出願を調べると、89

 で、マイクロニードルアレイの出願は2007

 から開始され、計19件となっていました。

 (2014331日現在)

  

 それでは、メドレックスさんの企業情報を

 さらに調べてみましょう。

  

 メドレックスさんは、20132月に東京

 証券取引所マザーズに上場がされており、

 このため、決算短信や、有価証券報告書

 なども出されています。

 

 これを見てみると、2013年度は(1月~

 12月)、売り上げは、まだ6800万円と

 少なく、営業利益、経常利益、当期純

 利益のいずれもが赤となっていました。

 

 最初HPを見たときに、従業員数の

 割には資本金が456千万円と非常に

 多く不思議だったのですが、上場を果た

 したことにより、資金が潤沢になったの

 ですね。

 

 現在は、新株発行、有償第三者割当て

 により流動資産は潤沢で、自己資本

 比率も95%とものすごいことになって

 います。

 

 しかし、早いところ売り上げを伸ばさ

 ないとキャッシュフローが厳しくなって

 きますので、是非頑張っていただいて、

 注射をやめにして欲しいものです。