知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

知財戦略入門編 まとめ

 それでは、佐藤食品工業さんが訴えられた

 根拠となった越後製菓さんの特許を見て

 みましょう。

 

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 上記は公開公報から抜粋したものです。

 

 特許登録公報には要約が公開されま

 せんので、わかりやすいように要約も

 公開される特願2002318601から貼り

 付けました。

  

 特許のほうは、特許第4111382

 (2002103日出願)となります。

  

 出願公開公報には、上記のように要約も

 公開されるのですが、この理由は、出願

 公開は膨大な量になりますので、調査

 しやすいようにということになります。

  

 これを裏返せば、「わかりやすいように

 出願を公開しているんだから、この仕事で

 飯食ってるんだし、調べるのはあんたら

 の義務だよね」ということになり、「知ら

 なかったから許してね」という論理は

 通用しなくなります。

 

 上記の要約と図面を見ると、誰でも

 簡単に理解できる内容になっていますので、

 チェックを怠りなくしていれば危険性を

 感じ、特許をつぶすまで行かなくても、

 先使用の対策などを取れていたでしょう。

  

 簡単に越後製菓さんと餅業界の分析を

してきました。

 

 今回は餅業界を取り上げていますが、

 これまでは、餅業界だけでなく食品業界

 では、相手を訴えるなどはあまりなかった

 ものでした。

  

 しかし、現にこのような訴訟が起こり

 ましたので、今後いつ何時同じような

 訴訟が起きるかわかりません。

 

 したがって、 常にライバル企業の

チェックだけはして おく必要があり、

アンテナを高く張っておく必要が

あります。

  

 さらに見てわかるように、同業種で

 ない電機メーカーなどの特許出願も

 あるわけですから、競合企業だけでなく、

最低でも自分が属する技術分野での出願

チェックは常に怠らないようにする必要が

あるでしょう。

 

 

 

2018年12月12日追記:

 知財戦略入門編として非常に簡単な話を

しましたが、知財戦略についてはいろいろ

難しい問題があり、さらに知りたい方は、

小川紘一先生の「オープン&クローズ戦略ー

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