知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

リンパラ、イパネマ、シャオシャオパイ

 東芝の研究データが不当に盗まれた

というので、いろいろなメディアで取り上げ

られています。

  

 逮捕容疑は、不正競争防止法違反

(営業秘密開示)なのですが、これだけ

言われてもピンと来ません。 

 

 このためどんな容疑で逮捕されたのか

調べてみましょう。

 

 以前に、知的財産権の中に、不正競争

防止法というのもあるよというのを説明

しました。

 

知財戦略入門編 知財財産権て何? - 知財アナリストのひとりごと

 

知財戦略入門編 発明をして産業の発達に寄与しよう!! - 知財アナリストのひとりごと

  

 誰かの所有物、たとえば車や携帯が

盗まれたりすれば、誰の持ち物なのかすぐ

わかり、犯罪を立証しやすいのですが、

情報を盗まれるというのは、立証が難しく、

このため、不正競争防止法というものが

できています。

 

 (大まかにいうとそうなのですが、車など

と違い、企業などが念頭におかれています)

 

 データというのは、「情報」ですので、不正

競争防止法が「待ってました」としゃしゃり

出てくるわけです。(この法律があっても

なかなか適用は難しいですが)

 

 ということで、今回も金さんにご登場願って、

問題を解決してもらいましょう。(話は違い

ますが、韓国通の同僚に聞いたら、韓国での

名前の発音はキムさんになりますが、

金メダルは「クムメダル」と発音するそうです)

 

 むかーしむかしあるところにおじーさんと

おばーさんがおったそうな。おじーさんは

山へ芝刈りにおばーさんは川へ洗濯に

行っていたそうな。

 

 おじーさんは、それだけでは食っていけ

ないので、採ったものを町に売りに行って

いたそうな。 そうしたところ、あの悪ーい

王花陣とばったり出会ったそうな。

 

 王花陣は、自分が悪いことをしたのを

ちっとも気にかけないで、おじーさんに慣れ

慣れしく話しかけて来たそうな。

 

 「へっへっへっ、昔出入りしていたところから

秘伝の巻物を盗んでやったぜぃ。これをこれ

から日の本の外に売りに行くんでぃ。海の

向こうでは高く買ってくれるんでぃ。」

 

 と言ったので、おじーさんは売りに行くのを

やめたほうがいいと言ったのですが、

 

 「みんな、やっているから大丈夫なんでぃ。

お勤めの休みの日に、ご近所に名前を知られ

ないようにしてアルバイトで売りに行っている

のも多いんでぃ。」

 

 と言って行ってしまったそうな。

 

 王花陣はこのようにして、かなりのおあしを

頂いていたそうな。

 

 そうしたところ、王花陣が出入りしていた

大店(おおだな)で働いている眼鏡をかけた

お手伝いが王花陣のところにやってきて、

眼鏡をかなぐり捨てたそうな。

 

 王花陣はその顔を見て、「お、おまえは!!」と

驚いたそうな。

 

 そこには、島崎和歌子さんが立っていて、

「リンパラ、イパネマ、シャオシャオパイ」と

いう呪文を唱えると、黒い雲がもくもくと湧いて

来て、昔の若い中華魔女「ちゅうかないぱねま」

になって、言ったそうな。

 

 「悪だくみはみんな知っているのよ!

金さんも魔法で出したから、観念しなさい」

 

 と言われ、王花陣は、桜吹雪も見ないうちに

観念してしまったそうな。

 

 めでたし、めでたし。

 

 ということで、不正競争防止法というのは

ちょっと前までは15条ぐらいしかなかったの

ですが、企業秘密が盗まれたり、模倣が

起きたりするので、頻繁に改正がおこなわれ、

現在は31条まであります。

 

 この中で営業秘密を盗んだ罪が規定されて

おり、営業秘密関係の不正競争は21

4号から7号というところに規定されています。

 

 また、営業秘密というのは何だ?というのも

法律で規定されており、

 

① 秘密管理性

② 有用情報性

③ 非公知性

 

が要求されるのですが、これらを管理する

というのは結構難しいものがあり、立件する

のが困難となっています。

 

 したがって、海外への技術情報が持ち出さ

れるのが野放し状態で大問題となっていた

ため、メディアで大きく取り上げられることと

なりました。

 

 今回のような大っぴらな秘密情報入手は

少ないのではないかと思いますが、技術

情報を手土産に人知れず海外に転職した

方たちは、戦々恐々としているのでは

ないでしょうか。