知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

知財戦略入門編 この~木何の木気になる木~~

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 大きな企業は、知的財産報告書という 

ものを毎年出しています。これは法的に

定められたものではないのですが、我々の 

企業はこんな研究開発をおこなって、価値 

創造をしているぞという宣伝?のために 

積極的に外部に公表をしています。

  

 ためしに、WEBで「知的財産報告書」と打ち 

込んでもらうと、いろいろな企業から出されて 

いるのがわかります。

  

 このように、知的財産報告書という独立した 

形で外部に公表している企業と、Annual  

Reportの中で一緒に報告しているもの、

さらには有価証券報告書の中で報告して 

いるものなどさまざまな方式が見られます。

  

有価証券報告書の中で義務付けられている

項目の中の、事業等のリスク、経営上の重要な 

契約等、研究開発活動などのところで書かれて 

いるのが一般的です。)

  

 この知的財産報告書の中で、株式会社 

日立製作所のものは、そのものズバリの 

「知的財産戦略」として毎年出されている 

ものがありますので、この20134

16日版をちょっと覗いてみましょう。

 

http://www.hitachi.co.jp/IR/library/presentation/130416/130416a.pdf

 

 1ページ目は目次なので、上記の2ページ目を 

見ると、現在の状況としては海外と戦って勝ち 

残っていかなければなりませんので、「グローバル

メジャープレーヤーに向けた知財活動」と記載 

されており、さらに、ビジョンとして、「グローバル

競争を勝ち抜く知財力の構築」をするぞ、と、 

一番の大きな戦略が明確に打ち出されています。

 

 次に、それではどのような分野に力を入れるのか 

が書かれており、「社会イノベーション事業で世界に

応える」んだとこれも明確にメッセージが出されて 

います。

 

 その次は、現状の説明がされていますので 

飛ばして、6ページ目からは、知財戦略の

ブレークダウンをおこなっています。

 

 というように、ビジョン、戦略といった非常に 

わかりやすいメッセージとなっています。これらを 

さらに落とし込んだ戦略は外には出せないで 

しょうから見ることができませんが、とにかく 

最初に、どのようなビジョンで、どのような戦略で

行くのか社員全体がわかるようなメッセージを 

作成する必要があります。

 

 他の企業から出されているものは、知的財産

「報告書」として、報告書形式の文章主体で

書かれているため、日立製作所ほどメッセージ性 

がありませんが、とにかく最初は、このような

メッセージ性のあるわかりやすいものを作り

ましょう。

 

 尚、前回分析したオリンパスグループの2013年 

3月期の報告書も出ていますが、残念ながら 

日立製作所ほど、インパクトはありません。

 

http://www.olympus.co.jp/jp/common/pdf/intellectual_property_report_2012.pdf