知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

知財戦略入門編  特許と実用新案って何が違うの?

f:id:oukajinsugawa:20140307091040j:plain

f:id:oukajinsugawa:20140307090743j:plain

  

 今まで、企業の知財活動例をいろいろ取り 

上げて来ましたが、今回からは、まずアイデア型 

企業を取り上げて、アイデア型企業で必要な 

知的財産権それぞれの権利の性質を少し 

詳細に見てみましょう。

  

 知的財産権にはどのようなものがあるのかと 

いう話はすでにしましたが、中身がどのような 

ものかというのを詳しく見てみましょう。

  

 ちょうどよい説明資料が特許庁から毎年出て 

いますので、そこから図は抜粋して貼りつける

こととします。

  

http://www.jpo.go.jp/torikumi/ibento/text/h25_syosinsya.htm

  

 上の図がそれですが、もし図に書かれて

いる字が小さくてよく見えないようであれば、 

WEBのほうの現物を見てください。

  

 発明を保護する特許権、考案を保護する 

実用新案権、デザインを保護する意匠権、 

マーク(商標)を保護する商標権があると 

以前に説明しましたが、それぞれ保護期間が

違います。

  

 これは、その権利の特性の違いと時代 

時代ごとの要求の違いによるものなの 

ですが、たとえば発明というのは、どんどん 

陳腐化していきますので、特許権は原則

特許出願から20年とされています。

  

 特許権のところに「一部25年」と書かれて 

いますが、これは薬事法などで認可が必要な 

ものがありますので、認可を待つ期間があった 

場合などは、特別にその期間だけ5年を 

限度として延長できる制度です。

  

再生医療製品も5年を限度に延長できる 

ようにしようというのが決定されましたので、 

どのような製品が対象かなど今後決定

され、施行される予定です。)

  

 実用新案制度というのは、発明と似た

ところがありますが、物品の形状、構造

又は組合せを保護する制度で、技術的創作 

レベルが発明よりも比較的低いものでも 

保護され、ライフサイクルが短いものなどに 

利用されます。

  

 ライフサイクルが短いものに利用されます 

ので、特許出願と違い、実体審査(新しい、

とか、進歩しているとかの審査)を経ずに

方式審査(書類はそろっているかなど)のみで

半年程度で登録されます。

  

 ただし、実体審査を経ずに登録されます 

ので、権利行使の際には注意が必要です。

(相手側に、権利が無効だとして無効審判と 

いうのを請求される可能性があります)

  

 したがって、出願戦略を考える場合には、

長期的にその権利を活用するのか、どんどん 

新しい製品が出てくるようなライフサイクルが 

短い製品に活用するのかで検討が必要です。