知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

知財戦略入門編  基本特許

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 それでは、本日は前回の続きで、後藤金型

さんが出願したスプレー缶のリサイクルについて

は、どのような企業がどのような特許出願をして

いるのか見てみましょう。

(ガス出しに限定します)

  

 後藤金型さんの出願は上記になります。

  

 出願は合計3件で、すべて特許登録されて

います。 効率いいですね。 前回書いたように、

経産省からのお達しが出る前の登録は、途中で、

年金を払わず消滅させて、他の2つで頑張って

います。

 

 権利状況の横にカッコ書きしたのは、後藤金型

さんのHP上の名称です。商標登録はされて

いませんでした。

  

 2件だけの基本特許で市場を押さえていると

いうのは、効率がいいですね。複合製品でない

場合には基本特許を取ることで、売り上げを

伸ばすことができます。 この前の「ねじ」の場合も

そうでした。(そのほかにノウハウもあります)

 

 それでは、どんな企業が出願しているかです。

 

  Fタームのテーマコード3E014(内容物取出用特殊

手段をもつ容器・包装体)や4F033(ノズル及び噴霧

装置)などを観点Fタームで絞りこむことができます

ので、検索すると以下のようになりました。

3件以下は、後藤金型のみ表示させています)

 

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 上位のほうの企業名にあまりなじみがありません

ので、HPから概要を抜き出すと以下のようになります。

後藤金型さんと比べると、皆さん、企業としては大きい

です。

 

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 それでは、時系列ではどのように出願しているの

かを見てみると、以下のように、大きな企業は、コン

スタントに出願をしているようです。

 

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 ここで、後藤金型さんの権利化した特許発明は、

強い権利だったのかということで、引用回数を調べると

最初の出願のみ3件の引用回数でした。

 

  複雑な技術の場合、他の出願の拒絶理由として

審査官が引用した回数が多いほど、強い権利と

考えられるのですが、このような見た目でわかる

技術については、他社へのけん制効果が働き、

同じような技術での出願がないのかもしれません。

  

 ということで、非常に小さな企業での例を見て

みました。

 

  このように、少数の特許権でも、いいものは

大企業にライセンス供与でき、しかも大企業が

侵害を見張っていてくれるということになり、

さらにマスメディアでも取り上げてくれますので、

信用を得ることができるということになりますので、

小規模企業ほど、知財戦略は大事だということが

できます。