知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

中国での2013年の特許出願詳細は?

 

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 昨日の日経新聞等に、米国での特許出願最新情報が

出ており、出願数はサムソンが2位でLG10位でした。 

 

韓国勢おそるべし!!

 

 ということで、新聞に出ている情報は皆様に検索

していただいて、出ていない米中情報をアップして

みましょう。

 

 まず、米国特許出願情報を見てみます。

 

 米国の特許庁USPTOといいますが、USPTO

からFiscal Year2013のレポートが出ました。

 

 ほとんどが財務などUSPTOが何をしているか

というレポートですが、最後の方に2013年の出願

情報等が出ています。

 

 まず2013年の状況を書く前に、米国の特許制度が

どのようになっているかですが、特許法は、特許

Utility)、植物特許(Plant)、意匠(Design)が

一緒になっています。

 

 したがって、Patentというところに上記の単語が

並んで書かれています(Reissue(再発行)というのも

あります)。

 

 ここで、特許(Utilit)を見てみると、2013年は

56万件でした。

(中国の説明でも同じですが、「約」です)

 

 尚、米国の特許制度は、日本に似た中国の制度と

異なり、かなり日本と違います。 

(上記の再発行の制度は、登録後に欠陥を発見した

場合、特許権者が内容の訂正を求めることができる

制度です。)

 

 海外法制度はそのうち書くとして、先程の2013年の

米国出願は、2012年に比して6%の増でした。 

 

 日本は2013年の情報はまだ出てきていませんが、

2012年は34万件で2011年とほぼ同じですので、

米国は伸びているし、中国はさらに大きく伸びて

いるといえます。

 

 米国への特許出願で多い国は日本が断トツ1位で、

総合力では韓国勢を上回っています。

 

 それでは、前回の中国での特許出願情報の

続きを見てみましょう。

 

 中国での特許出願数は82万件でしたが、

実用新案はこれ以上で、89万件です!!

 

 日本の実用新案の出願件数は2012年が

8112件でしたので、(数字が小さいので、

ここだけ正確な数字で書きました)、

全く違っています。

 

 したがって、中国の知財情報を調べるときには、

特許関係だけでなく、実用新案関係も調べないと

非常に危険です。

 

 中国では、実用新案の権利侵害で、3.3億元

43億円)という損害賠償が認められたシュ

ナイダー事件というのがありました。

(ただし、和解により、1.575億元(21億円)の

和解金になりました) 

 

 特許情報分析がいかに大事かということが

ここでもおわかりになると思います。

 

 次に、日本と中国で出願にどのような違いが

あるのか見てみましょう。 こちらのほうは冒頭の

グラフで、IPC分類別件数で私がグラフを作成した

ものです。

 

 中国は2013年、日本は特許行政年次報告書

2013年版に載っている2012年情報です。

 

 見ておわかりのように、まだまだ中国では生活

必需品やインフラ関係が多いのがわかります。

(それだけではないですが)

 

 日本の方は、測定や制御、電気関係で半分近くを

占めています。

 

 中国は実用新案での出願も多いですが、こちらの

IPC分類での比率の方も特許出願と近い比率になって

います。

 

 最後に、日本と違うところをもうひとつ見て

みましょう。 

 

 下は、登録されてからどの程度権利が存続している

かのデータです。

 

 日本は6年後でも81.4%という高率ですが、

中国国内権利者は登録残存率は6年で半分を切って

います。

 

 さらに、日本では10年で52%の登録残存率ですが、

中国国内権利者は10%です。 

(国外権利者は日本に近い数字です)

 

 すなわち、現在は、中国国内からの出願は産めよ

増やせよの玉石混交なので、知財情報分析をおこなう

場合には、権利情報もしっかり調べることが必要と

なります。

 

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