知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

ネコババしちゃダメ!!

  前回からの続きです。

  

 コピーしても良いのか悪いのかを判断する

場合には、その法律の目的に立ち返って判断

するのがよいのですが、著作権法の目的は、

1条に書かれており、「~公正な利用に留意

しつつ、著作者等の 権利の保護を図り~」

となっていますので、「どのようなものが

公正か?」と考えればよいと思います。

 

  それでは、最初の質問に戻って、「会社で

コピーをしたいのだが、いいのか悪いのか

わからない」を判断する場合、いささか乱暴

ですが、それをコピーして使う場合、著作権者の

売り上げに響かないか?と考えれば、ある程度、

判断できるようになります。

 

   たとえば、新聞や雑誌をコピーして会社で

配ったら、その分買ってくれたであろう人が

買わないわけですから、売り上げに響き「ブー」と

なるでしょう。

 

 ただし、家で個人的に使う場合には、「まあ

許しましょう」となっていますので、OKとなる

でしょう。 

(会社で配るのは、会社の商売に役立てて

いるといえます)  

 

 それでは、会社の仕事のために、コピーをして

自分一人で使ったらどうなるでしょう。

 

 この場合、汗水垂らしてせっかく作ったものを

ただで他人の商売に使われてしまいますので、

「ブー」となるでしょう。  

 

 ただし、また話が複雑になるのですが、さらに

32条というところに、「まあ、引用して使う場合

にはいいんじゃね!」というのがあります。

 

 これは、「正当な範囲内で行われるもの」の場合

OKとされています。 

 

 この場合、正当な範囲というのは何だ?と

いうことになりますが、大体、本文が「主」で、

引用するものが「従」であることが必要です。

 

 つまりは、引用文のほうが圧倒的に長いとか、

引用した写真がメインだなどの場合は「ブー」と

なるでしょう。 

 

 さらにさらに、48条というところに、引用する

場合には、出所を明示しなさいとなっています

ので、どんなところから引っ張ってきたのかなど

記載しておく必要があります。 

(汗かかないでいるのに、勝手に自分で作った

ような顔をしてネコババしないで、汗水垂らして

作った人のことを尊重してね、ということです)

 

  私のブログでも、どこかから引っ張ってきた

ものには、出所を明示しています。

(・・・のつもりですが、たまに忘れていたら

著作者の方、ごめんなさい)

  

 今までのところで、新聞や雑誌をコピーして

会社のみんなに配布したりするのはダメだと

わかりました。

 

 それでは、これをプロジェクターなどで映して

みんなに見せたらどうでしょう?  

 

 これは、プロジェクターに映す前にコピーする

でしょうから、その時点で「アウチ!」となります。

(その他の権利のところでもNGになりますが)

 

  原点に立ち返ってみて売り上げに響くかどうか

考えてみれば、その分、売り上げに響くのでNG

ですよね。

  

 じゃあ、新聞、雑誌、書籍など、発売した後

いつまでもコピーできないのか、などその種類に

よって異なりますが、これはそのうち書いてみま

しょう。

 (特許法でも、原則20年たったら他人も実施できる

ようになりますよね)

  

 ということで、いろいろ書いてきましたが、

著作権法というのはネコババしてる、などという

人間同士のどろどろとしたところがあって、私には

一番おもしろい法律です。

 

 このほかにもいろいろなケースが考えられますので、

 いろいろ考えてみるのもおもしろいと思います。