知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

パテントマップ特許情報分析編1 登録率を時系列で見てみよう!

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 ハードロック工業さんでは、時系列での

登録率を示しませんでしたが、このブログ

では簡単なものから複雑なものへ解説をして

いこうと思っていますので、今回は、イイ

ファスさんの時系列での登録率マップを示し

ました。

 

 さすがに今回のマップ作成はエクセルでは

不可能ですので、パテントマップ作成ソフトで

作成したマップを貼り付けてみました。

 

 1985年から2012年まででは長くなって

しまうので、2段にしています。

 

 これも出願人の時系列マップですが、

さらに詳細を示しています。

 

 このように時系列マップで、さらに詳細に

分析することができます。

 

 マップの見方ですが、円の真ん中に

書かれている数字はその年の出願数です。

 

 色分けされているのは、その年に出願

されたものがその後拒絶や、登録された

かを追跡調査したものです。

 

 たとえば、1985年の出願3件中、1件が

拒絶査定等で、2件が登録されました。

 

 登録されたものには、登録されたものの、

すでに権利期間が過ぎてしまったものや、

年金未納で登録抹消されたものなども

含まれます。(特許登録されても、年ごとの

お金を払わないと、権利はなくなってしまい

ます。 特許権を維持するためにも毎年

お金がかかります)

 

 マップでは、このような権利期間が

過ぎたものなどもさらに詳細に示すことが

できますが、見にくくなるのでまとめて

しまっています。

 

 それではマップから何が読み取れるかを

見てみましょう。 

 

 昔は各企業はやみくもに特許出願数を

増やそうとして、何でも(ちょっと言い

過ぎですが)出願していました。

 

 企業の研究開発者には毎年出願ノルマが

課せられて、苦し紛れに出願しているものも

多数ありました。

 

 しかし、昨今の景気動向により、投資

だけでなく企業知財部での予算も減らされる

ことになり、出願を厳選するようになって

きています。

 

 またお金がもったいないことと、出願

しても、拒絶されたり、審査請求しなかっ

たりしたものは他企業へ技術を教えるだけに

なる可能性も高く、各企業では、出願前の

先行技術文献調査をするところが多くなって

きました。(これは以前にも書きましたし、

特許庁での平均登録率も上がっていることも

書きました)

 

 したがって、これらを頭に入れて経年での

登録率を見て行くと、上のグラフよりも下の

グラフのほうが青色が少なくピンクの色が

多いような気がします。

 

 しかし、感覚ではよくわからなかったので、

上と下の登録率を計算すると、上が48%

下が58%と最近は登録率がアップして

いるのがわかりました。

 

 やはりイイファスさんも出願前の先行

文献調査をおこなっているのでしょう。

 

 今回は、感覚ですぐにはわかりません

でしたが、このようなマップを描くことに

より、感覚的に違いが分かる場合があります。

 

 次回は2社比較分析に移ります。