知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

パテントマップ特許情報分析編1 検索のとき企業名は注意しよう!

 

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 それでは、今度は、イイファス(株)

さんを先程のようにマクロ分析から

おこなってみましょう。

 

 出願人は「イイファス」さんで特許

公開されている出願全部を検索すること

として、1社しかないので簡単に無料の

IPDL特許電子図書館)を使ってみま

しょう。

 

 検索結果をグラフにすると上図の

ようになりました。

 

 しかし、おかしいですね。

 

 出願は2008年からしかヒットしません

でした。

 

  たしかもっと前から出願があったはず

ですが・・・・・。 

 

 このため、前のグラフと見比べてみましょう。

 

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 たしかに、もっと前から出願があり

ますね。

 

 前回は技術分類「F16B39/00」の特許

出願のみを調べましたが、今回は出願全数を

調べているので、普通は今回のほうが

多くなってよいはずです。 

 

 おかしいですね!?

 

 前回は商用の検索データベースを使い、

今回は特許庁IPDLを使ったぐらいしか

違いは思い浮かびません。

 

 なぜでしょう? 

 

 理由として考えられるのは、

 

 ① 検索データベースにより、ヒットする

   ものが違う。

 ② 検索データベースの他に何か理由がある。

 

2つだと思います。

 

 まず一番目ですが、検索データベース

ごとにヒットするものが違っていたら

検索データベースの意味をなしません。

 

 少しは違いはでるかもしれませんが、

こんなに違いはでないはずです。

 

 それでは2番目を調べるために、まず

IPDLの文献蓄積情報を見ることにします。

 

 IPDLの最初の画面の赤枠「文献蓄積

情報」をクリックすると、それぞれの

サービス名が別画面で開きます。

 

 開いた画面の中のサービス名をクリック

するとさらに別画面が開き、蓄積情報が

出て来ます。

 

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 今回の検索は公報テキスト検索を

おこないましたので、そこを見て

みると、特許公開公報は平成5

1993年)からの蓄積情報を見る

ことができるのがわかります。

 

 それぞれのサービスで蓄積情報が違い

ますので、試してみてください。

 

 検索したデータでは、2007年以前の

データがヒットしていませんので、理由は

これではなさそうです。 何か、その

ほかにあるのかということで、イイファス

(株)さんのホームページを見てみます。

 

  http://www.iifas.jp/info.html

 

 そうすると、社名のところに「イイファス

株式会社(旧 光洋器材株式会社。平成21

6月改称)と書かれています。

 

 イイファスさんは昔と全然違う名前に

なっていたのですね。

 

 もしかすると、これかも?ということで、

出願人を「光洋器材 or イイファス」と

して検索してみると、「ビンゴ!!」、古い

ものもヒットしてくれました。

(マップは後ほど)

 

 ここで、検索をする際に注意しなければ

ならない重要なことに気づきます。

 

 社名が、ある時点で全く違ったものに

なっている場合、現在の社名で検索しても

ヒットしないものが出てくるということです。

 

 つまり、我々が他社を分析しようとする

場合には、特許情報だけに目を向けるの

ではなく、その会社の全貌を明らかにして

から分析をしないと、間違った分析をして

しまう可能性があるということです。

 

 社名が変わった場合などは、IPDLでは

出願時の会社名はヒットしてきませんので、

注意が必要です。

(尚、これの解消方法として、申請人識別

番号で調べるという方法がありますが、その

うち、説明しましょう。)

 

 今回の検索で、そのほかにも気がつくことが

ありますので、以下次回へ。